「すみません。では待たせていただけますか」 そう言って、リュミエールは既に馴染みになった客間に通してもらった。 ソファに腰を下ろし、出されたお茶を飲んでいると、廊下がざわめいて、ドアが開いた。 「リュミちゃんが来てるって？　は〜い、リュミちゃん、気が合うねぇ」 ルヴァが帰ってきたのかと期待したリュミエールは、一気に脱力する。 「オリヴィエ、あなたでしたか…」 「ルヴァでなくてごめんね。そんなに露骨にがっかりしないでよ」 「オリヴィエ、あなたはどうしてここへ」 「ん？　ちょっとルヴァに頼みごとがあってね…」 「そうですか」 「大丈夫だって。すぐ済む用事だから、邪魔はしないよ」 「オリヴィエ…」 とりとめのない四方山話をしながら、しばらく待っていたが、ルヴァは帰ってこなかった。 「ルヴァ、どうしたんだろう、遅いね…」 「そうですね…」 「う〜ん、仕方がないなぁ。もう事後承諾にしちゃおうっかなぁ…」 「え？」 「うん、そうしよう」 オリヴィエはよいしょっと立ち上がると、ドアを開けて廊下へ出て行く。 リュミエールも後を追った。 「オリヴィエ、ここはルヴァ様のワインセラーではありませんか」 「うん。実は、今夜オスカーと飲み明かそうって話になってね、どうせならちょっといいお酒を仕入れておこうかなって思ってさ」 「仕入れてって、あなた…」 「ここにはカティスが残していった逸品が揃ってるし、ルヴァはほとんど飲まないんだからさ、いいじゃない」 「そんなことを言っても…」 「わかった。じゃあリュミちゃんも共犯者になっちゃおうよ。ね」 「え？」 「さ、行こ行こ」 オリヴィエは数本の酒を物色するとリュミエールを伴って自分の館へ帰ろうとした。

オリヴィエと行きますか？ オリヴィエと一緒に行く 地の館にとどまる