自分を抱き締めるリュミエールの温もりの中で、ルヴァはその音に耳を澄ます。
その気配に気付いたのか、少し遅れてリュミエールが目を覚ました。
「ルヴァ様、どうかなさいましたか？」
「あの音は…何の音でしょう…」
「え？」
外の物音に注意を移したリュミエールは、少しして「あぁ」と微笑んだ。
「ルヴァ様、ちょっとこちらへ」
ルヴァを抱え起こすようにして起き上がると、リュミエールはルヴァを窓辺にいざなった。
厚いカーテンを払って窓を開けると、物音は一段と高まる。
窓外の様子を見て、ルヴァは「あぁ！」と感嘆の声をあげた。
「雨の音だったんですね」
目の前には昨日と同じように波を打ち寄せる海が広がり、そこに雨が降っていた。
雨が降っているわりに空は明るい。
淡い灰色の雲を透かして、朝の明るさが感じられた。
「海に降る雨ですか…。なんだかステキな眺めですね」
嬉しそうに微笑むルヴァを、リュミエールは静かに抱き締める
「故郷にいるころにはよく見た光景ですが、わたくしの好きなものの１つです」
「初めて見ました。私も…この光景が好きです…」
「ルヴァ様…」
同じものを見て、同じように好きだと感じることが嬉しかった。
今、この時間が、貴重な一瞬に思われる。
２人は寄り添ったまま、じっと雨の降る海を眺めていた。
海の見えるテラスの壁紙が使ってみたかった。ただそれだけのお話です（＾＾；
「海に雨が降ってる」というのはずいぶん昔の某漫画の主人公がつぶやいた言葉なんですが(笑）
