海の見えるテラスで…　　２００７．１．２６
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

テラスから見渡せば、視線の届く限り、どこまでもどこまでも青い海だった。
寄せては返す波の音が、果ても無く繰り返される。
既に耳はその音に慣れてしまい、意識して聞こうとしないと認識しないほどだった。
テーブルの上に置いた本を開くのも忘れて、ルヴァは飽くことなく海を眺めていた。
美しい海を持つ惑星…リュミエールの生まれた海洋惑星もこんなふうなのだろうか…
ルヴァはまだ見たことのない、かの星に思いを馳せる。
いつか２人で訪れよう、と約束していた。
お互いの生まれた海の星と砂漠の星……
いつか、守護聖でなくなったら、２人で旅をしようと、お互いの生まれた星を一緒に訪れようと…
ありえない約束をした。
そんな日が来るはずもないのに…
ルヴァはふわりと空を見上げる。
透き通るような空を背景として、数羽の海鳥が飛んでいた。
白い大きな翼が力強く風を切る。
自分の力のままに、どこへでも飛んでゆける彼らが羨ましいと思った。
守護聖の身は、聖地という鳥籠に閉じ込められている存在だ。
こうして、ごく稀に外の世界に出ることを許されても、自由気ままに宇宙を駆けることは出来ない…
ルヴァは小さくため息をついた。