では第２問をどうぞ…

「やっぱり最後は問題になっちゃうんだよねぇ…」

半ば諦めたような口振りでオリヴィエがつぶやく。
うんうん、と何人かが同意した。

「問題とはいえ、凄い設定だな。可愛いお嬢ちゃんたちを食うのか、この山姥は」

「オスカー…あんたって、つくづくオスカーだねぇ」

「なんだ、そりゃ」

オスカーとオリヴィエのやり取りに笑いが起こる。

「今の話は人食いの山姥でしたが、実は山姥というのはたいそうな美女だ、という話もあるのですよ」

クスッと笑いながらルヴァが言った。
予想どおり、オスカーは「なんだと」と食いついてきた。

「数ある伝説の１つですけれどね。都の廓で一、二を争う美人の遊女が、さる勇者の子を身籠ったんですが、何か不思議な力で山奥へ飛ばされて、そこで子を産み育てていた、というのですよ」

「変わった話だな」

「生まれた子供は、クマと相撲を取ったりしてたくましく育つのです。その土地の浮世絵と言われる絵画には、美しい母親と、真っ赤な顔で丸々としたたくましい幼児の絵が描かれていたりしますよ」

「クマと相撲かぁ、凄いな」

ランディが素直に感心した声をあげる。

「山奥に棲む都の美女と、クマと格闘する幼児か。凄い取り合わせだねぇ」

オリヴィエが、これも感心したような声を漏らす。

「その美女を山姥と言ってしまう感性がわからんな」

首をひねるオスカーに、笑いが起こる。

「山姥という言葉は単に山に棲む少し年齢のいった女性、という意味ですから…」

申し訳なさそうにルヴァが言うのも、妙に可笑しかった。

「そっか～。確かに姥であって婆でもないしねぇ」

オリヴィエがそういって笑う。
それからしばらくは、なぜかオスカーを中心に女性の話になった。
子供たちに聞かせられないような話はしないでくださいよ～と、ルヴァはやきもきしていたが、幸いなことに、ほとんどが笑える話ばかりだった。

「本当に、オスカーは女性が好きなのですね」

呆れたようにリュミエールがつぶやく。
オリヴィエが、そうだねと笑った。

「ねえ、ルヴァ」

「なんです？」

「オスカーにさ、何か問題出してみない？」

「どういうことです？」

ルヴァとリュミエールが不思議そうにオリヴィエを見る。

「ん～、だからさ、女性だけが登場するような問題だったら、オスカーのヤツは見事に解くんじゃないかと思って」

さも楽しそうにオリヴィエは笑う。
ルヴァもリュミエールも、笑ってしまった。

「でも、ダメですよ、オリヴィエ」

笑いを収めながらリュミエールが言った。

「今までだって女性だけの問題はありましたよ」

「ああ、そうですねぇ」

ルヴァがまだ笑いながら、同意する。

「この間の休暇の時なんて、まさに女性に関係する問題で、しかも女性から出題されていたのに解けなくて困っていたじゃないですか」

「そっか。やっぱりダメかぁ」

残念そうに言うオリヴィエの言葉が耳に入ったらしい。

「どうかしたのか」

少年たちへの話が一段落したオスカーが、振り向いて聞いてきた。

「ん？　いや、なんでもないけどさ…」

オリヴィエがニッと笑う。

「ルヴァが、特にオスカー限定で問題を出すってさ」

「え？」

驚きの声が重なった。
オスカーはルヴァを見、ルヴァはオリヴィエを見る。
華やかに笑って、オリヴィエがルヴァにウインクを飛ばした。

「ほら、ルヴァ。問題出してやってよ。オスカー用のヤツ」

「俺用のってなんだよ、それ」

「へえ～、ルヴァからオスカーに挑戦ってわけか。おもしれーじゃん」

ゼフェルが面白がって囃し立てる。

「オスカー様、頑張ってくださいねっ」

「ダメだよ、ランディ。そんなプレッシャー掛けちゃ」

ランディを止めるように言いながら、マルセルもじっとオスカーを見詰めていた。
少年たちの視線を受けて、オスカーは半ばムキになったようだ。

「よし、わかった。受けて立ってやる。ルヴァ、問題出せ！」

「はあ…」

ルヴァは困ったようにオスカーを見返し、オリヴィエを見、リュミエールを見てため息をついた。

「仕方がありませんねぇ。じゃあ…」

少し考えた後で、ルヴァはおもむろに話し出した。

「オスカー、いいですか。
ここに、女性ばかりの３人姉妹がいます。どの女性も快活で可愛らしい人たちです。年齢は…そうですね、１７歳、１８歳、１９歳、としましょうか」

「なんだか危険な設定かも…」

オリヴィエがそっとリュミエールにささやいた。
リュミエールは苦笑気味にうなずく。

「彼女たちには同じように３人姉妹の友人がいます。こちらも皆はつらつとして魅力的な人たちで、年齢は同じく１７歳、１８歳、１９歳です。いいですか、オスカー」

「ああ…」

「さて、この６人が、自分の姉妹についての発言なら真実を語り、友人についての発言ならウソをつく、というルールで次のように発言しました。
この発言から、誰が何歳かを当ててください」

「年齢を当てればいいのか？」

「ええ、そうです」

「わかった」

「ではいきますよ。６人は次のように発言しました。

アリス「私はファデと同じ年齢です」
ベル「私はコニーと同じ年齢です」
コニー「ベルは１７歳ではありません」
ドリー「エミーは１８歳ではありません」
エミー「コニーは１９歳ではありません」
ファデ「私とドリーは２歳違いです」

さあ、オスカー、６人の年齢を当ててください」

「あ、ちょっと待ってくれ…えーと…」

オスカーは眉間に皺を寄せて考え始める。
皆、興味津々でオスカーを見詰めていた。

問：６人それぞれの年齢を当ててください。ついでに、どの３人が姉妹なのかも整理してくださいね。

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