Q1

「ルヴァ～、いる～？」

声と一緒にオリヴィエは地の執務室の扉を開ける。
数歩踏み込んで執務室の中を見回し、戸惑ったように振り返って後ろに続くリュミエールを見る。

「ルヴァ、どこかへ出掛けるって言ってたっけ？」

「いいえ、お昼には何もおっしゃってなかったと思いますが」

「そうだよねえ。じゃあ、何か急用かな」

「そうでしょうか…」

２人はもう一度室内を見回す。
部屋の主の姿はどこにもない…。
オリヴィエはちょっと肩をすくめると「仕方ないね」と言った。

「仕方ないね。じゃ、ルヴァが帰るまでお茶でも飲んで待ってようか」

「え？」

戻ろうとしかけたリュミエールは、オリヴィエを見て首を傾げる。
オリヴィエは楽しそうにニッと笑った。

「だから、ここでお茶でも飲んで待ってようって」

「あの、でも…」

「大事件が起こってるんでなければ、すぐ戻ってくるでしょ」

「えぇ…まぁそうですけれど…」

「勝手知ったる他人の執務室ってね。今お茶淹れるから、座ってて」

「あ、わたくしも手伝います」

２人は慣れた様子でお茶を淹れ始めた。

お茶のお代わりを飲み干すころ、ルヴァが戻ってきた。
２人の姿を見て一瞬驚いた様子を見せたルヴァは、次の瞬間嬉しそうに微笑んだ。

「留守をしていてすみませんでしたね」

「お帰り、ルヴァ。ほらほら座って座って」

「今お茶をお淹れします」

「あ、すみません。ありがとうございます」

ルヴァはソファに腰をおろし、笑顔でお茶を受け取る。
続いて差し出された皿を見て、驚いたように目を見張った。

「お茶請けのお饅頭、よくわかりましたねぇ」

「そりゃあね。ダテに毎日ここでお茶してないよ」

「はあ、そういうものですか…」

そのルヴァの表情が面白いといってオリヴィエは声をあげて笑った。
それにつられてリュミエールがクスリと笑う。
気が付けば３人とも笑っていた。

改めてリュミエールとオリヴィエもお茶を淹れ直し、いつもながらののんびりしたお茶会となった。
様々な話題がまったりと飛び交う。
しばらくしてからオリヴィエが思い出したように言った。

「ねぇ、ところでルヴァ」

「何です？」

「さっきどこ行ってたのさ」

「あぁ、ちょっとジュリアスのところへね」

「へえ～ジュリアスのところだったんだ」

「あの、何かやっかいな事件でも起こったのでしょうか」

「それともまたゼフェルがやったことでお小言を言われたとか？」

「いいえ、そのどちらでもありませんよ」

ルヴァはほんのりと苦笑する。

「来週からしばらく、守護聖を外に派遣することが続くので、その間の執務の調整について相談していたんですよ」

「何、それ」

オリヴィエとリュミエールは訝しげにルヴァを見詰める。
お茶を飲み干したルヴァは、２人を見返して静かに話し始めた。

「ですからね、来週から…えーと…６週間ですね、６週間の間、毎週視察で外へ行かなきゃならないのが続くんですよ。それも、毎週２人ずつです」

「へえ～２人ずつなんだ」

「わたくしたちにはまだ何も知らされていませんね」

「ええ…」

ルヴァは何か思いついたように「あぁ、そうです！」と２人を見た。

「誰がいつどこへ行くのか、当ててみませんか」

「何、それ」

「えぇ、実はね、その６週間に外へ行く顔触れは、まあ偶然なんですけど、オリヴィエ、あなたとオスカー、
そしてゼフェルとランディの４人なんです」

「何よ、それ。６週間の間毎週、しかも毎週２人ってことは延べ１２人でしょ。それを４人でやれっての」

「はぁ…。サクリアの関係で、どうしてもそうなっちゃったんですよ。ですから執務の調整が必要になったんです」

「それで？　延べ１２人を４人でなら平均は３回だけど、そう考えてもいいわけ？」

「はい。上手い具合に４人とも３回ずつです。さらに面白いことに、２人の組み合わせは全部違っていて、同じ相手と２回出掛けることはありません」

「なるほど。全員と１回ずつ一緒に出掛けることになるんだね」

「そうなんですよ。今からいうデータから、何週目は誰と誰がどこへ行くのかを考えてください。どうですか」

「いいよ。考えようじゃない」

「わたくしも、考えてみます」

「はい。じゃあ言いますよ。メモを取るなら取ってくださいね」

ルヴァは楽しそうに２人を見る。
２人は息を詰めてルヴァの言葉を待った。

「いいですか。

１．オリヴィエは『二連太陽の迷いの惑星』には行きませんが、２週目の視察には行きます。
２．ゼフェルは『灼熱の砂の惑星』に行きます。そしてその２週間後にオリヴィエとオスカーが行きます。
３．ランディは５週目に行くことになっています。
４．『凍てつく氷の惑星』への視察は４週目ですね。
５．オスカーとゼフェルは『楕円軌道の冬の惑星』に行きます。
６．ゼフェルが『常春の緑の惑星』に行く翌週には『二連太陽の迷いの惑星』の視察が予定されています。
７．『輝く湖の惑星』への視察は第１週ではありません。

これだけです。さあ、いかがですか？」

リュミエールとオリヴィエはメモを見ながら解き始める。
その様子を見ながら、ルヴァはゆっくりとお茶のお代わりを淹れ始めた。

問：何週目に誰と誰がどこへ行くかを答えてください。

　　　（１週目…ジュリアスとクラヴィス、主星　という形でまとめてください。
　　　　惑星の名前は緑、砂などの略称で構いません）

では第２問へどうぞ　⇒⇒　