Q2

「あぁ〜疲れた。俺はもう問題はいい。ルヴァの相手はお前らだけでしてくれ」

力の無い声で言って、オスカーは椅子の背に体重を預けて上を仰いだ。
その様子を見て、オリヴィエとリュミエールは目を見合わせてクスッと笑った。

「オスカー、あの、大丈夫ですか…」

心配そうにルヴァが尋ねる。
オスカーには、それに返事をする気力すら残っていないようだった。

「あぁ、しばらく休ませとけば復活するから、心配しなくっても大丈夫だって」

「そうでしょうか…」

「オスカーは打たれ強いですから、ご心配には及びませんよ、ルヴァ様」

「そうそう。だから私たちは気にしないでお茶飲んでようよ」

「は、はあ…。そうですね」

苦笑を浮かべて、ルヴァはお茶を淹れ始める。



しばらくすると、元気な足音と共に少年たちがやってきた。

「よぉ、邪魔するぜっ」

「こんにちはぁ」

「失礼しまーす」

「あぁ〜、いらっしゃい。どうぞお座りなさい。今お茶を淹れてあげますね〜」

「あぁ、すまねーな」

「あれ、オスカー様、どうかされたんですか？」

ふと気が付いたようにマルセルが尋ねる。

「ん〜？　ああ気にしない、気にしない。ちょっと頭使い過ぎただけだから」

「何だとぉ？　オスカーの野郎、無茶なことしたもんだな」

「無茶って何だ、ゼフェル」

「あぁ？　オスカーとか、てめーみたいなヤツは頭なんか使っちゃいけねーってことだよ、ランディ野郎」

「どうゆうことだよ」

「あんたたち、バカなこと言ってないで。ほら、ケーキ切ったよ」

「すみません、オリヴィエ様。うわぁ、美味しそうだなぁ。ゼフェル、ほら、早く食べようよ」

一転して、もうケーキのことしか頭にありません、という表情になったランディの様子を見て、ゼフェルはがっくりと肩を落としてため息をついた。




「そーいえば、ルヴァ」

ケーキは脇にどけてお茶を飲んでいたゼフェルが、顔を上げる。

「なんだか来週から頻繁にサクリアを送らなきゃいけねーんだってな」

「あぁ、そのことですか。えぇ、そうですね。あの生まれたての星系のために、しばらくは計画的にサクリアを送る必要がありますからね」

「なんだか、かったりーな」

「ま、あんたがそう思うのも無理ないけどね〜」

オリヴィエが笑いながらウインクを飛ばす。

「新たな星系の育成には手間が掛かるモノなんだ。ちゃんとイイ子にして、計画のとおりにサクリアを送るんだよぉ」

「っせーな。それくらい俺だってわかってるよ。」

「でも、オリヴィエ様」

「何？　マルセルちゃん」

「僕にもサクリアを送るようにって知らせは来たんですけれど、いつ送ればいいかの連絡がないんですよ」

「俺ンとこにも来てねーぜ、そんなの」

「俺のところにも来てないよ」

「え、そうなの？」

少年たちは顔を見合わせてホッとしたように微笑みあった。

「きっと、その日に知らせがくるんだぜ」

「そうだね」

「そんなことはありませんよ。この先５週間分の予定はできています。知らせが行っていないのはおかしいですねぇ」

ルヴァの言葉に、少年たちは「えっ」という表情を浮かべた。

「何かの都合で遅れているのでしょう。今日ぐらいには届くのではないでしょうか」

そう言うと、ルヴァはにっこりと笑った。

「でも、あなた方も早く知りたいでしょうね。じゃあ、情報をあげますから考えてごらんなさい」

少年たちは、慌ててルヴァを見た。
早く知らなくっても大丈夫だ、研究院からの連絡を待つから…という間もなく、ルヴァはすっかり出題態勢に入っていた。

「あ…でも、ルヴァ様、５週間分の予定なんて覚えていらっしゃるんですか？」

マルセルが恐る恐る尋ねると、ルヴァは「はい」と余裕の笑みを浮かべた。

「もちろんですよ。研究院の人たちと話し合って、最終的には私が予定を組んだようなものですからね」

「そう…ですか」

マルセルは引きつったような笑顔で答えた。
オリヴィエが、あきらめるんだね、とでもいうように微笑んでみせる。
リュミエールも気の毒そうに少年たちを見詰めていた。

「ジュリアスとクラヴィス、オリヴィエ、そして私は別のメニューが組んでありますから、あなたたちが考えるのは、風・水・炎・緑・鋼の５つのサクリアについてです。
ではデータを言いますから、メモをお取りなさい。

この５種類のサクリアは、１日にどれか１つを送ります。
月の曜日から金の曜日までに５種類のサクリアが１回ずつ送られます。
また５週間を縦に見ると、各曜日単位でも５種類のサクリアが送られます。
５回の月の曜日で５種類、５回の火の曜日で５種類…ということですね。
ここまではいいですか？
では、いきますよ。
１）第４週と第５週には、風のサクリアを送った次の日に緑のサクリアを送ります。
２）第１週と第５週には、緑のサクリアよりも鋼のサクリアを先に送ります。
３）第４週には水のサクリアを送った次の日に炎のサクリアを送りますが、第１週ではそうではありません。
４）第５週には鋼のサクリアよりも水のサクリアを先に送ります。
５）第１週の水の曜日には炎のサクリアを、第２週の水の曜日には鋼のサクリアを送ります。

さあ、これだけでわかるはずですから考えてごらんなさい」

少年たちは、途方に暮れた様子でデータを記したメモ用紙を眺めていた。

問：５週間のサクリアを送る予定を答えてください。

　　（週単位で、１−風・水・炎・緑・鋼、　２−水・炎・緑・鋼・風、　３−…のように答えてください）

おわかりになりましたら、下のアイコンから解答ページにお進みください。