Q1　

「あ、あぁぁ〜っ！！」

ルヴァの叫び声に続いて、何かが床に投げ出されたような音が響いた。





「よお、ルヴァ！　脚立から落ちて寝込んでるってホントか？」

元気な声のうちに隠し切れない心配さを覗かせて、ゼフェルが寝室の扉を開けた。

「あぁ、ゼフェル…」

ベッドに横たわったルヴァが嬉しそうな声をあげる。
その傍らに付き添っていた２人もゼフェルの姿を見て笑顔を浮かべた。

「おや〜ゼフェル。ルヴァのこと心配して駆けつけてくるなんて、さすが愛弟子だねぇ〜」

「ゼフェルは本当に優しいのですねぇ」

オリヴィエとリュミエールを加えた３人の笑顔に迎えられ、ゼフェルはちょっとたじろいで立ち止まった。

「そ、そんなんじゃねぇや。俺は、ルヴァが脚立から落ちて、腰打って、んで寝込んでるって聞いたから、その情けねーザマを見にきたんだ」

肩をそびやかせて言うゼフェルの様子に、大人たちはそっと微笑み合う。
ゼフェルはルヴァの傍に歩み寄り、「フン」と鼻で笑ってルヴァを見下ろした。

「トシのくせに無茶するからだぜ」

「トシ…はひどいですよ、ゼフェル…」

「トシじゃねーか。で、具合はどうなんだよ」

「えぇ、ちょっと打っただけですから、もう大丈夫ですよ。起きることだって…あ、痛たた…」

「バカヤロ、動くんじゃねーや。おとなしく寝てろ！」

「あぁ、はいはい…」

「ゼフェル、お茶が入りました。座ってください」

「ん？　あぁ」

「ほら、おせんべもあるよ」

ルヴァの枕元に集まって、なんとなくお茶会になった。



「そういえば、ゼフェル、あなた主星の王立研究院に行ってたんじゃありませんか」

ふと思い出したように、ルヴァが尋ねた。ゼフェルが「あぁ」と答える。

「あぁ。技術の交流ってやつに立ち会ってきたぜ。けっこう面白かったな」

「そうですか。それはよかったですねぇ」

嬉しそうなルヴァの様子に、ゼフェルは満足そうに微笑む。

「そーだ、ルヴァ、面白ぇ話、してやろーか」

「へぇ、何何？何の話？」

オリヴィエが興味深げに口を挟む。

「今話してやるよ。おめーらも考えてみな」

「何？　問題なの？」

「ルヴァ様へのお土産ですか。ステキですね」

リュミエールに微笑みかけられ、ゼフェルは照れたように目をそらす。

「うっせーや。黙って聞いてな。いいか」

内容を確認したのか、しばしの沈黙の後、ゼフェルはおもむろに話し始めた。

「あっちの若い研究員たちの何人かと知り合って、いろいろ情報交換したりしてたんだけどよ、
俺の作ったメカの話をしたら、見せたいものがあるから遊びに来ないかってことになって、
夜にこっそりとそいつらの宿舎に遊びに行ったんだ」

「ゼフェル。あなた、そんなことしてたんですか」

「いーじゃねーか。何も悪いことしてるわけじゃねーし。
で、まぁ、何を見せてくれたかは置いといて、そいつら、５人いたんだが、
苗字は、ゴールド、クリムゾン、ブラウン、アンバー、ブルーっていって、
１号室から５号室までの５つの部屋に住んでたんだ。
今からいう情報で、どの部屋に住んでるのが誰なのか、フルネームで答えてみな。
いいか？」

「えぇ。その情報を聞かせてください、ゼフェル」

「あぁ、いくぜ。

３号室にいるのがアラン・ゴールド。こいつは機械工学の専門家だ。
ブラウンは生化学者で、１号室には住んじゃいねー。
クリムゾンの名前はリックでもエディでもなく、リックかエディの隣の部屋だ。
アンバーの両隣はアランとビートだった。
レイクは航空力学が専門で、ブラウンの隣の部屋じゃねー。
リックはアランの隣じゃなかったぜ。

これだけでわかるはずだ。
あぁ、もちろん部屋は１号室から順に並んでっからな」

言い終わって、どうだ、とばかりにゼフェルはルヴァを見る。
ルヴァは楽しそうに微笑みを返した。

問：どの部屋に誰が住んでいるか、フルネームで答えてください。

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