Q2

ずいぶん暑かった昼間が終ると、夕方の風がいつもより心地よく感じられて、ルヴァは思わず笑顔となった。

「こんな些細なことでも幸せだと思ったりするんですから、やっぱりたまには季節の変化があった方がいいかもしれませんねぇ」

突然の発言に、咄嗟には意味がつかみきれず、オリヴィエとリュミエールはまじまじとルヴァの顔を見詰めた。
２人の視線に気が付いたルヴァは、照れたように頬を染めて、今感じていた気持ちを説明した。
聞き終わると、２人は「あぁ…」と納得の声をあげ、改めて、夕方の風を味わった。


「オスカーは帰ってしまわれましたけど、お２人はディナーを召し上がっていってくださいますね」

「うん。ご馳走になるよ、ルヴァ」

ウインクと共に答えるオリヴィエの横で、リュミエールも静かに微笑んで「はい」とうなずいていた。



３人でのディナーは楽しかった。
暑さを考慮した涼しげな料理を、目で楽しみ舌で味わい、あれこれと話は弾んだ。

「しかし、ホントに今日は暑かったよねぇ〜。しばらくこんな暑さが続くのかなぁ」

「さぁ、どうでしょうね。ルヴァ様、何か聞いていらっしゃいますか」

「え？　いいえ、私も何も知らないんですよ。でも、まぁ…２、３日は続くのではないでしょうか」

「そっか。じゃあ着るモノもそれなりに夏のイメージで考えないといけないね…」

オリヴィエは真面目に考えだす。

「あ、ねえねえリュミちゃん。色違いでお揃いの服があるんだけど、一緒に着ない？」

「ありがとうございます、オリヴィエ。でも、わたくしはこの格好で充分ですから…」

クスリ、とリュミエールは笑みを浮かべる。

「それに、あなたとお揃いというなら、さぞ露出度が高くて、うんと透けていることでしょうから、わたくしには不向きな服装だと思います…」

「あ…」

２人の視線がぶつかって、次の瞬間弾けるように２人は笑い出した。
ルヴァも面白そうに笑っている。

「ねぇ、リュミエール…」

笑いをこらえるようにして、ルヴァが声を掛ける。

「オリヴィエの装束は、確かに露出度が高くって、スケスケだったりしますけれどね、肌触りがよくて着心地がいいことは保証しますよ」

「はぁ…？」

言い終わって、ルヴァは我慢出来ないように声を出して笑っている。
リュミエールは当惑した眼差しでルヴァを見詰めていた。



「砂漠は昼間はひどく暑いですが、逆に夜はひどく冷え込むんですよ…」

熱いお茶をゆっくり飲みながら、ルヴァが言った。

「厳しい昼と夜に挟まれた、ごく僅かな穏やかな時間…　太陽が沈みきって、吹く風が冷たさを含み始めるころ、私はよく砂漠を散歩しました。大気が昼間の熱を冷ました後でも、しばらくは砂はほんのりと温かくて…　楽しかったですねぇ」

まるで少年のようなルヴァの表情を、オリヴィエとリュミエールは黙って見詰めていた。

「いとこのアーマドとも、よく一緒に散歩しました。歩きながら、彼はたくさんのことを話してくれました。砂漠のこと、星々のこと、歴史の話、遠い異国の話…」

「そして、いろいろなパズルの問題、でしょ？」

オリヴィエに指摘されて、ルヴァは「えぇ、まぁ…」と笑った。

「ルヴァ様、せっかくですから、何か話してくださいませんか」

「あぁ、そうだね。ここまできたら、何か問題解かなきゃ物足りないね。ルヴァ、そのアーマドから出された問題、何か言ってよ」

「そ、そうですか？　じゃあ…」

ルヴァはしばし考えてから、話し始めた。

「そうですねぇ…　こんな話がありましたよ…
　　
４人の姉妹がいて、次女と末っ子は本当のことを言います。
では、次の４人を年齢別に並べてください。
ライラ「ローザはルチアより年下です」
ローザ「私はライラより年下です」
ルチア「ローザは三女じゃありません」
リゼル「私は長女です」

さあ、いかがですか？」

にっこりと笑ってルヴァがオリヴィエとリュミエールを見た。

問：４人を年齢順に並べてください。

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