Q1

穏やかな日の曜日の午後だった。
地の館ではいつものように何人かの守護聖たちが集まって、気の置けないお茶会が開かれていた。

「オリヴィエ、お茶のお代わりはいかがですか」」

「ん。ありがと、ルヴァ」

「ルヴァ様、ハーブのケーキを焼いてみましたが、召し上がりますか」

「あ〜それはステキですねぇ。ありがとうございます、リュミエール」

「リュミちゃんお手製のケーキか。久し振りだね」

「しばらく忙しかったですからね」

「そうだったね…」

３人はそれぞれに、多忙を極めた、ここしばらくの様子を思い返した。
のんびりとお茶会をするのも久し振りだった。
改めて、ゆったりとお茶を味わう。

「あ〜やっぱりいいですねぇ、こうして皆さんとゆっくり出来る時間は」

「えぇ、本当に」

「それにしても、静かだねぇ。お子様どもの姿も見えないし」

「あぁ、彼らは今日は森に遊びに行くって言っていましたからねぇ」

ケーキを口に運びながら、おっとりとルヴァが答える。

「あぁ、そうなんだ」

なるほど…とオリヴィエはお茶のカップに口を付ける。

「楽しそうだな」

突然掛かった声に３人が振り向くと、オスカーの姿がそこにあった。

「よぉ。手土産はないが、俺にもお茶飲ませてくれるか」

「何言ってるんですか、オスカー。どうぞ座ってください」

ルヴァは笑顔でお茶を淹れる。

「あぁ、すまないな」

「オスカー、あんた、どこ行ってたの」

「ん？　ジュリアス様のお供で王立研究院に行ってきたんだ」

「それはお疲れ様でした」

リュミエールがケーキの皿をオスカーの前に置く。

「あぁ、疲れたぜ。でも、まぁ一段落したからな」

オスカーはお茶を一息に飲み干して、ふぅ…とソファの背もたれに体重を預けた。

「あぁ…静かだなぁ、ここは」

満足げにオスカーがつぶやいたとたん、賑やかな話し声と足音がして３人の少年たちが駆け込んできた。
オスカーはひそかにため息を漏らした。

「おうっ、邪魔するぜっ！」

「こんにちは〜」

「失礼しま〜す」

「あんたたち元気だね〜。こっちおいで。リュミちゃんのケーキがあるよ」

楽しそうにオリヴィエが声を掛ける。
少年たちが席に着き、ひとしきり会話が飛び交う。
なんだか一気に活気を増しましたねぇ…とお茶を飲みながらルヴァは微笑んだ。

「ところで、あんたたち、今日は森へ行ってたんだって？」

「あぁ。ここんとこ忙しくって身体なまっちまったからな。久々に走り回ったぜ」

「身体がなまったって、そもそもお前は運動不足なんだよ」

「なんだと、ランディ野郎！」

「まぁまぁ、ゼフェルもランディも落ち着いてください。お茶のお代わりはどうです？」

「いや、まだいー」

「俺はいただきます。ありがとうございます、ルヴァ様」

「あぁ、ルヴァ、道具は執事に渡しといたぜ。ありがとよ」

「はい、どうも。それで、成果はいかがでしたか」

「おう、ばっちりさ。俺が一番だったぜ」

「俺だって負けてなかったぞ」

「お前ら、いったい何してきたんだ」

「ルヴァ様から釣りの道具をお借りしたんです、オスカー様」

言い合っているゼフェルとランディを置いて、マルセルが答える。

「釣りか。それはいいな」

「で、誰が一番釣れたの」

オリヴィエの問に、３人の少年たちはニッと笑って目配せをする。
ゼフェルもランディも、言い合っていたことをすっかり忘れたようだった。

「俺らは３人ともみんな、１匹以上３匹以下の魚を釣ったぜ」

謎めいた笑顔でゼフェルが言う。
大人たちはきょとんとした顔でゼフェルを見た。

「あ、その言い方…　あんたたち、私たちに問題を出そうっての」

オリヴィエの言葉にゼフェルは「ヘヘン」と笑った。

「あー、そーだぜ。見事当ててみやがれ」

「ほう。俺たちに挑戦しようっていうのか。いい度胸だな」

「ケッ、よくゆーぜ、オスカー。おめー、こうゆーのからっきしダメだろ」

「なんだと」

「まぁまぁ、オスカーのことは置いといて、とにかく、問題を言ってみたら？」

「あぁ。じゃあいくぜ。さっきも言ったとおり、俺らは３人とも１匹以上３匹以下の魚を釣ったんだ」

「みんな同じ数かもしれませんし、違う数かもしれませんよ」

マルセルがにっこりと笑う。

「じゃあ、いくぜ」

ゼフェルの合図で少年たちは次のように述べた。

マルセル「ランディは２匹釣りました」
ランディ「ゼフェルが釣ったのは２匹じゃありません」
ゼフェル「マルセルが釣ったのは１匹じゃねーよ」


「さぁ、どーだ。わかるか」

「ゼフェル、それだけじゃわかりませんよ。なにか条件があるのでしょう」

ルヴァに指摘されて、ゼフェルはちょっと肩をすくめた。

「ちっ、気が付いたか。あぁ、条件があるさ。

自分より多く釣ったヤツに関しての発言はウソで、それ以外の発言は真実だ。

これでわかるはずだぜ。どーだ？」

「えぇ。それなら解けますよ。よく考えましたね」

ルヴァに言われて、ゼフェルは誇らしげに笑みを浮かべる。

「ちょっと、問題を出した側が、相手に確認してもらってどーするのよ」

オリヴィエの声に、笑いが起こった。

問：３人は、それぞれ何匹の魚を釣ったのでしょう？
　　　　どう考えたかも書いてくださいね。
　　　

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