Q2
久し振りに聖地に戻ったオスカーを交えて、お茶会はのんびりと続いた。
お昼になり、「せっかくですからランチをご一緒してくださいね〜」というルヴァの言葉に甘えて、昼食を済ませ、そのまま午後のお茶会へと突入する。
これもまた、いつもどおりの光景だった。

「たまにはこうしてのんびり過ごすのもいいよなぁ。聖地に帰ってきたって気がするぜ」

しみじみとしたオスカーの言い方が、妙に切実に響いた。

「お疲れなのですね、オスカー」

リュミエールが声を掛ける。

「あぁ。けっこう忙しかったからな」

「あっちにどのくらいいたんだっけ？」

オリヴィエの問にオスカーはちょっと考える。

「１５日、だな。プラス往復の行程が３日ずつだ」

「それはお疲れ様でしたね、オスカー」

新しく淹れ替えたお茶を勧めながら、ルヴァが言った。

「けっこう長かったね」

そう言って、オリヴィエクッキーの皿を回して寄す。
取り上げたクッキーを指先で弄びながら、オスカーは「そうだな」とつぶやいた。

「で？　１５日の間何してたのさ」

「あぁ？」

「まさか１５日間ずっと、お酒飲んだり女の子口説いたりしてたわけじゃないでしょ」

「当たり前だ。忙しく仕事してたに決まってるだろう」

「へぇ〜」

「その間に惑星５つ回ったんだぞ」

「有人惑星は７つあるということでしたね」

おっとりと、ルヴァが尋ねる。

「あぁ。そのうちの５つを回ってきたんだ」

「なんで５つなのさ」

「知らん。王立研究院と向こうの中枢とで決めたんだ」

「惑星５つで１５日間…３日間ずつですか」

首を傾げるリュミエールに、オスカーは「イヤ…」と首を振った。

「なんでだか知らんが、日数は全部違ってた」

「では、それぞれの滞在日数は１日、２日、３日、４日、５日ということですね」

「すごいな、ルヴァ。そのとおりだぜ。なんでそんなことがわかるんだ！」

本気で驚いているオスカーの姿に、オリヴィエは呆れたようにため息をついた。



「惑星間の移動はわずかな時間で出来るようになっていたから楽だったが、慌しい日程であることは確かだったな」

オスカーはお茶を飲みながら、ふぅ…と息をついた。

「おや、めずらしく弱音をはくじゃないか」

面白そうにオリヴィエが笑う。
リュミエールはたしなめるように「オリヴィエ」とささやいた。

「弱音じゃない。本当に慌しかったんだぞ」

オスカーはじろりとオリヴィエを睨む。

「えーと、４日目にはアデリアルという星にいただろ。８日目にはラパンにいたし、１２日目にはバラキアという星にいた」

オスカーは指を折って、思い出しながら話し続けた。

「３番目に訪れた星には１日しかいなかった。４番目の星はサイラスだったな。３日間いた星はサイラスでもカルビナでもなかったぜ」

そこまで言って、オスカーはニヤリと笑ってオリヴィエを見た。

「さて、１５日間の俺のスケジュールがわかるか」

「何よ、それ。さっきの弱音は問題出したいための前フリだったってこと？　第一、それだけの条件でちゃんと解けるかどうか怪しいもんだわね」

「あぁ〜オリヴィエ、大丈夫ですよ。それだけデータがあれば、ちゃんと答は出ます」

ルヴァの言葉に、オスカーはどうだとばかりオリヴィエに視線を向ける。

「あぁ、わかったわかった。珍しくもオスカーが必死で考えた問題なんだから、その挑戦、受けて立とうじゃない」

「ごちゃごちゃ言わずにさっさと解け」

不適に笑いながら睨みあうオスカーとオリヴィエを見ながら、ルヴァとリュミエールは困ったような笑顔を浮かべていた。

問：何日目から何日目までどの星にいたのか、１５日間のオスカーのスケジュールを答えてください。

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