Q1



土の曜日の早朝、ルヴァが朝食を終えてのんびりしていると、突然賑やかな声がして、３人の少年守護聖たちがやってきた。

「ルヴァ様、おはようございます」

マルセルとランディが元気よく挨拶をする。その後ろでゼフェルは「よぉ」とかなんとかつぶやいていた。

「はい、おはようございます。珍しいですねぇ、こんなに早く」

「はい、俺たち、ちょっとルヴァ様にお願いがあって」

「まぁお掛けなさい。今お茶を淹れますから」

「あぁ…いえ、あのぉ…」

「いらねーよ。のんびり茶ァなんか飲んでるヒマはねーんだ」

言葉を探しているマルセルの脇から、ゼフェルがパシッと言った。

「おい、ゼフェル、そんな言い方はないだろ。すみません、ルヴァ様」

「いいんですよ、ランディ。ゼフェルはいつもこんなふうですから」

「なんだよ、それは」

「それより、何か私に用があっていらしたのではないのですか」

「あぁ、そーそー。俺たちこれから森へ行くんだ」

「はい。それで？」

「今日は川原に行って遊ぼうっていうことになったんですけど…」

「どうせ川に行くんならお昼は魚を釣って食べようって話になって…」

「早い話が、釣りの道具貸してくれってことだ」

３人が代わる代わる話すのを聞いて、ルヴァは（あぁ…）とにっこりした。

「いいですよ。お好きなのを持っていってください」

執事を呼んで、少年たちに好きな釣り道具を選ばせて貸してやるようにと指示を出す。
少年たちは執事の後を付いて部屋を出て行った。
ルヴァは微笑みながら、間もなく訪れるはずの人の為に、ゆっくりとお茶の支度を始めた。





「さてと、そろそろ魚でも釣って昼飯にするか」

「そうだね。いっぱい遊んだから、僕お腹空いちゃったよ」

「あぁ、俺も腹ペコだ。うまく釣れるといいな」

「釣れるといいなじゃなくて、ぜってー釣るんだよ。釣れなきゃ昼飯はなしだぜ」

「あ、俺、少し食べ物持ってきた」

「何だと！　よし、魚だけじゃなくて、そいつも一緒に食おーぜ」

「早く釣ろうよ。う〜ん、餌付けるのかわいそうだなぁ、ミミズさん、ごめんね」

「何、バカ言ってんだ。そら、誰が一番釣るか、競争だぞ」

「よし、負けないからな」

「ランディ野郎に釣られるような間抜けな魚がいるといーな」

「何だと。ゼフェルみたいな乱暴なやり方で釣れるもんか」

「はいはい、ケンカは釣れてからにしよーね」



「釣れねーな…」

「そーだね…」

「俺、１匹釣っただけだよ」

「俺も１匹だ」

「僕も」

３人は顔を見合わせる。バケツの中には同じくらいの大きさの魚が１匹ずつ入っている。
競争は引き分けのようだ。

「もう釣るの止めて料理に掛からないか」

「そうだな。とにかく１匹は釣れたんだし、食うか」

「うん、そうしよう」

３人は釣竿を片付けて昼食の準備に掛かった。
これもルヴァのところから借りてきた調理キットを出して、下ごしらえをし、塩コショウをして小麦粉をまぶす。

「串に刺して塩焼きってんじゃいけねーのか」

「えー、このお魚はムニエルが絶品だってルヴァ様がおっしゃってたじゃない」

「面倒だなー」

「いいじゃないか。どうせ食べるなら美味しいほうがいいよ」

「ま、何でもいーや。それよりランディ、おめー何か持ってきたって言ったよな」

「あぁ。えーと…ソーセージとベーコンだ。ソーセージが８本とベーコンが５枚」

「ハンパな数だな。まぁいーや、出せよ。そいつも焼いた方がいーだろ」

「あぁ、そうだな」


火は簡単におこすことが出来た。
少年たちは調理キットの中から、フライパンを２つ取り出した。

「さあ、さっさと焼こーぜ」

「うん…」

「どうしたんだ、マルセル」

「このフライパン、お魚２匹しか並ばないよ」

「なんだと…」

「ホントだ。順番に焼くしかないな」

「厄介だな。そもそも、何分焼くんだよ」

「片面４分くらいだって聞いたよ」

「ソーセージとベーコンも全部いっぺんには無理みたいだ」

「そうなの？　あぁ、そうだね。えーと…ソーセージなら５本乗るね」

「うん。ベーコンなら３枚だな。あとは…ベーコン１枚とソーセージ３本か、ベーコン２枚にソーセージ２本、そんなところだ」

「ややこしいな。そんなの全部まとめてちゃっちゃっと焼けねーのかよ」

「ダメだ。焼く時間だって違うんだし」

「焼く時間なんて一緒でいーじゃねーか」

「いや、厨房からこれ持ち出したときに、ソーセージは４分、ベーコンは３分焼くようにって言われたからな」

「そんなん守らなくたっていーと思うぜ。だいたい、それ、きちんと守ってたら、いったい全部焼くのに何分掛かることになるんだよ」

「え…？」

「俺は少しでも早く食いてーんだよ！」

「俺だってそうさ」

「僕もだよ」

「じゃあ、とにかく片っ端からやっつけようぜ。俺は魚焼くから、てめーらはソーセージとベーコン焼け」

「あぁ、わかった。マルセル、フライパン取ってくれ」

「うん」

３人は神妙な顔付きで、フライパンを火に掛けた。

問：全ての食材に火を通すのには最短何分掛かるでしょう。

フライパン１には１度に魚が２匹並びます。
フライパン２には１度にソーセージ５本か、ベーコン１枚とソーセージ３本、ベーコン２枚とソーセージ２本、ベーコン３枚、のどれかしか載せられません。

魚は３匹、ソーセージは８本、ベーコンは５枚あります。
魚は片面４分、ソーセージは４分、ベーコンは３分、焼きます。

ただし、フライパン１は魚のみ、フライパン２はソーセージとベーコンのみに使用して、共用は出来ないものとします。２つのフライパンは同時に使っているものと考えてください。


では第２問へどうぞ⇒⇒