Q2


「よぉ、忙しそうだな、おっさん」

「おっさんじゃない。あぁ、そんなことに構ってるヒマはない。忙しいんだ。…何かあったか」

「いや、別に何もねーけどよ、何がそんなに忙しいんだよ」

「新年の祝賀会の後で、陛下の御前で内々のパーティーがあるだろ」

「あぁ、その余興の準備か。俺たちも真っ最中だぜ」

「お前たち何やるんだ」

「そん時まで内緒だよ」

「そうか。そうだよな」

「アンタたちは何やるんだよ」

「俺たちか…３人ならまだ気楽なんだがなぁ…」

「何だよ」

「補佐官殿のお達しでな、ということは陛下のご意思なんだが、上の方々と一緒に６人で芝居をすることになった」

「上って、ジュリアスやクラヴィスたちか」

「あぁ」

「そりゃたいへんだな」

ゼフェルはニッと笑った。

「同情するぜ、おっさん」

「あぁ、同情してくれ」

「何だよ、いつもと感じが違うな…。ホントに疲れてるんだな」

からかう気力も失せたかのようにゼフェルはオスカーを見送った。
同情されるべきはオスカーよりも自分たちの方なのだということを、この時のゼフェルはまだ知らない。



パーティーが始まった。
女王陛下は御簾の内側に在って姿を見せないが、守護聖たちの緊張は否めない。

パーティーが始まって祝辞が終わるとすぐに、年長・中堅の６人が立ち上がった。
少年たちは、もう大人たちの余興が始まるのかとびっくりしたが、そうではなかった。

「ランディ、ゼフェル、マルセル」

ジュリアスが声を掛ける。

「後刻、我々６人は陛下の為に芝居をお目に掛けるが、６人のうち２人は天使、２人は悪魔、２人は人間の役を演じる。これから出すヒントで誰が何の役かを当ててみよ」

「何だって？」

ゼフェルが戸惑ったような声をあげる。
ランディとマルセルは黙って顔を見合わせた。

「うまく当てることが出来たら、女王陛下からご褒美がありますからね〜」
ルヴァが声を掛けるのに対して、
（どーせおめーが考えたんだろーが）と言いたくなるのをゼフェルは抑えた。

「その代わり、答えられなかったらそなたたちの学習量を増やすよう進言するから、そのつもりでしっかり答えよ」

「げっ」

冗談じゃねーぞ、という視線が３人の間を行き交う。

「先に説明しておこう。天使役の者は必ず真実を述べる。悪魔役の者は必ずウソをつく。人間役の者は１人は必ず真実を述べ、１人は必ずウソをつく。よいか」

３人の少年は緊張しながら頷く。

「では行くぞ」

ジュリアスはにっこり笑って５人に目配せをした。
６人の大人たちは順々にヒントを告げる。

Julious 「オリヴィエは人間役だ」
Clavis 「オスカーは天使役だな…」
Luva　「あ〜リュミエールは悪魔役ですねぇ」
Oscar 「ルヴァはウソをついてるぜ」
Lumiale 「ジュリアス様とオリヴィエは同じ役ですね」
Olivie 「クラヴィスとルヴァは同じ役だよ」


少年たちは一生懸命メモを取った。

「答えは、芝居が始まるまでに提出せよ。その間にはそなたたちの演し物もあるから心して掛かるように」

ジュリアスの言葉に反応する余裕もなく、少年たちは考え始める。
大人たちはゆっくりと飲食に掛かった。

「先日のパーティーの時といい、ずいぶん彼らを鍛えられるのですね」

リュミエールがそっとルヴァにささやく。

「えぇ、あの子たちも少しずつ成長していってもらわないといけませんからねぇ」

「そんなこと言って。単にアンタの趣味じゃないの？」

オリヴィエが笑いながらウィンクを飛ばす。

さぁ、どうでしょうねぇ…とルヴァは微笑んだ。

問：誰が何の役かを答えてください。

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