Ｑ２


「ルヴァ様、すみません…」

いかにも申し訳なさそうにリュミエールが言った。
その足首の湿布を取り替えながら、ルヴァは、いいえ、と微笑む。

「気にしなくっていいですよ。こうしてあなたと一緒にいられる方が楽しいんですから」

「でも、せっかくの休暇なのに…」

まだ何か言いたそうなリュミエールの隣に腰を下ろして、ルヴァはそっとリュミエールの肩にもたれかかる。

「せっかくの休暇ですから、どこへ出掛けるより、あなたとこうしていたいです…」

「ルヴァ様…」

振り向いたリュミエールに、珍しくルヴァの方から口付ける…






当分、宇宙には何の変調もないだろうということで、守護聖全員に休暇が与えられた。
ジュリアスとクラヴィスは聖地に残ると言ったが、他の７人は聖地を出てとあるリゾート惑星にやってきた。
とりあえず、ここで７人全員で休暇の前半を過ごす。
その後はそれぞれ自由行動で、という予定だった。

着いた翌日、７人は好みの観光スポットへ出掛ける予定だったが、出掛けようとした矢先、入り口の段差につまずいてリュミエールが捻挫をした。
結果、リュミエールは１日ホテルで休養、付き添ってルヴァも居残り、残りの５人は予定通り出掛ける、ということになった。




海の見えるテラスでお茶を飲みながら、２人はのんびりと休暇を味わっていた。
観光に行けないのは残念だったけれど、こうして２人で過ごす時間はこの上もなく楽しかった。

「リュミエール、お代わりはいかがです」

「いえ、もう充分にいただきました。それよりルヴァ様、そろそろ皆さんが帰っていらっしゃる頃ではありませんか」

「そうですね。そろそろ帰ってくるでしょうね…」

なんとなく寂しそうに２人は見詰め合った。



ほどなく、賑やかな足音や話し声と共に５人が次々と帰ってきた。
出歩けなかった２人の為に、皆様々な土産を持ってきていた。
全員が集まって、あれこれと土産話も弾んだ。


「面白い場所が沢山あったぜ」

オスカーが軽やかなウィンクと共に言い出す。

「そうだね。見所満載って感じだったよね〜」

楽しそうにオリヴィエが同意する。

「皆さん、今日は一人一人で行動されたんでしたね」

ルヴァの声にゼフェルが「あぁ」と答えた。

「そうだ！ルヴァ、俺たちがそれぞれどこに行ったか当ててみねーか」

「あ、それいいじゃない。たまにはルヴァにも悩んでもらわないとね〜」

不敵な笑みを浮かべる少年に、オリヴィエも楽しそうに笑った。

ルヴァとリュミエールは顔を見合わせて苦笑する。

「わかりました。じゃあヒントをください」

「よし。じゃあまず、俺たちが行ったところだけど…熱帯植物園、シネマ博物館、鍾乳洞の大洞窟、海底公園、大聖堂、城跡の展望台、の６箇所だな」

「回ったのは全員３箇所ずつ？」

「いや、マルセルだけは２箇所じゃねーか」

「えぇ、僕は２箇所しか行きませんでした」

「じゃあ、マルセルは２箇所、後はみんな３箇所ずつってことだね」

オリヴィエが全員を見回す。みんな神妙な顔でうなずいた。

「熱帯植物園に行ったのが４人で、大洞窟に行ったのが３人、展望台に行ったのは…１人だな」

オスカーが指を折りながら言った。
続いて口々にいろんなことを言い始める。

Olivie「私とゼフェルは２箇所同じところへ行ってるよ」
Zephel「俺とマルセルは１箇所同じだな」
Marsel「僕の行った２箇所とも、オリヴィエ様も行ってらっしゃいます」
Randy「俺、オリヴィエ様とは同じとこ一つも行ってないです」
Oscar「俺とゼフェルは１箇所一緒だな」
Randy「俺、大聖堂へは行ってないです」
Oscar「俺は博物館には行ってないぜ」

「さあ、このくらいでどうだ、わかるか？」

腕組みをしながらゼフェルが尋ねる。
その様子があまりにも嬉しそうだったので、ルヴァはすぐに答えるのが可哀想な気がした。
リュミエールを見ると、聞きながらメモを取ったのに続いていくつか走り書きをして解答を得たらしい。
ペンを置いて顔を上げ、ルヴァと目を合わせる。
どうやらリュミエールもすぐに答えるのをためらっているようだ。
２人の戸惑いを誤解したゼフェルは、ますます嬉しそうに胸を張った…

問い：誰がどこに行ったのかを答えてください。


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