Ｑ１

「なんだかさぁ、こうやって集まってお茶じゃないもの飲んでるってのも、珍しいんじゃない？」

「あ〜そうかもしれませんねぇ〜」

「ルヴァ様、あまり飲み過ぎないよう、気をつけてくださいね」

「え、大丈夫ですよ、リュミエール〜」

「相変わらず過保護だわね、リュミちゃんは」

「オリヴィエ、そんなこと言って、あまりルヴァ様に勧めすぎないでくださいね」

「い〜じゃないの、たまには。ルヴァの誕生日なんだしさ」

「そうだな。誕生日だもんな。ほら、ルヴァ、緑の館から探し出してきたカティス秘蔵の逸品だぞ。グッといけ」

「あ〜ありがとうございます、オスカー」

「オスカー、あなたまでそんな」

「いーじゃんよ。ルヴァだって楽しそうだし」

「あ〜！ゼフェル！！」

「な、なんだよ」

「あなた、未成年なのに、またお酒を飲んでますね〜」

「今頃何言ってやがる。さっき一緒に乾杯したじゃねーか」

「あら、そうでしたか…」

ルヴァは真剣な顔で考え込む。その様子にみんな楽しげに笑った。



ルヴァの誕生日。公式に開催された女王補佐官主催のパーティーが終わって、なんとなくみんなでルヴァの館に集まって二次会になっていた。
土の曜日で、今日も明日も執務は休みである。
宇宙はさし当たって平和で、頭を悩ませるような事態は起こっていない。
みな、のんびりとくつろいでいた。

中堅の３人とゼフェルは、ルヴァを取り囲んで話したり飲んだりするのを楽しんでいた。
マルセルとランディはお酒よりもケーキや食べ物の方に集中している。
ジュリアスとクラヴィスは、少し離れたソファに並んで、皆の様子を眺めながらゆっくりとグラスを傾けていた。



「誕生日といえば、面白い話があるんですよ〜」

少々ろれつが怪しくなってきたルヴァが話し始めた。

「へぇ〜どんな話？」

オリヴィエがルヴァのグラスを満たしながら尋ねる。
他の者も皆ルヴァに注目した。

「ずっと以前にとある辺境の星に行ったときのことです…」

遠くを見詰めるような眼差しで、ルヴァは続けた。

「視察の合間に少し暇が出来ましたのでね、こっそりと町の図書館と書店を訪れたんですよ。
そのときに、数人の若者と知り合ったんですけどね」

ルヴァは楽しそうに笑った。

「その中の一人の少女が言ったんですよ。
『おととい私は１３歳だったの。でも来年には結婚出来る年になるのよ』ってね。
まぁ、結婚の年齢は土地によって違いますからね。そのときは普通に聞いていたんですけれど、念のためにいくつで結婚出来るのか確認したんですよ。そうしたら…」

「そうしたら？」

オリヴィエの問いにルヴァはいたずらっ子のような表情で答えた。

「１６歳なんだそうですよ」

ルヴァは口を閉ざして周りを見回した。
皆、狐につままれたような顔でルヴァを見詰めている。
その顔を見ながら、満足げにルヴァはグラスを傾ける。

「おい、ルヴァ、おめー酔ってんじゃねーのか。計算が合わねーぞ」

ゼフェルの抗議にルヴァは、そうでしょう、というような笑みを浮かべた。

「ねぇ、そう思いますよね。でも、間違ってやしません。その少女が言ったのは正しかったんです。と言いますのはね…」

「おい、ルヴァ！寝るなよ。ちゃんと説明しろってば！」」

ゼフェルの叫びも空しく、面白がっているような表情のまま、ルヴァはソファの背にもたれて眠り始めた」

「あらら…こりゃだめだ。すっかり酔いが回ってるね」

あきれたようにオリヴィエがつぶやく。

「ですから、飲み過ぎないようにと申しましたのに…」

「まぁいいじゃない。ルヴァがこんなに楽しそうなんだから」

「えぇ、それはまぁそうなんですけど…」

「なぁ、そんなことより今のルヴァの話は何なんだよ。そんなことってあるのか。気になって酒が飲めねー」

「なんだ、お前わからないのか」

「何だよ、オスカー。おめーにはわかったってのか」

「あぁ、もちろんだ」

「じゃあ、説明してみろよ」

「嫌だ」

「何だと」

「悔しかったら自分で考えるんだな」

ニヤニヤ笑うオスカーに、挑戦的な眼差しを向けていたぜフェルは「ふんっ」と目を逸らし、グラスの酒を舐めながら指を折って考え始めた。



「オスカーだってわかってやしないのにねぇ」

「まだまだオスカーの方が１枚うわてですね」

こっそりとささやきあって、オリヴィエとリュミエールは静かに笑った。
ルヴァは幸せそうに眠っている…

問い：「おととい１３歳で、来年には１６歳になる」こう言った少女の誕生日はいつでしょう。また、ルヴァがこの少女に出会ったのがいつなのかも答えてください。

注：この星の暦は、現代の地球と同じと考えてください。

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