Ｑ１

「ん〜」

ルヴァは執務室の窓から外を眺めながら大きく伸びをした。
首を回すと骨が音を立てる。
首筋や肩を揉みほぐしながらルヴァは軽くため息をついた。

　（今朝はなんだか忙しかったですねぇ…）

午前中の自分の行動を振り返り、改めて、なんという朝だったのだろうと考えると、逆になんだか面白くなった。


お茶を淹れてちょっとのんびりしていると、いつものように、リュミエールとオリヴィエがお昼を誘いにやってきた。
連れ立って庭園のカフェまで歩いていくと、柔らかな日差しが心地好い。


「ルヴァ、どうかしたの」

「え、なんです、オリヴィエ」

「なんだか元気ないね」

「そうですか。あぁ、少し疲れたのかもしれません。なにしろ今日は忙しかったですからねぇ」

「それはいけませんね。大丈夫ですか、ルヴァ様」

「えぇ、大丈夫ですよ、リュミエール。午後はそれほど忙しくならないと思いますから」

「それならよろしいのですが…。くれぐれも、無理をなさらないでくださいね」

「ありがとうございます」

「さ、とにかく食事しましょ」

オリヴィエが、リュミエールとルヴァの肩を抱いて、カフェの入口へと押した。




「それにしても、そんなに忙しかったの」

食後のお茶を飲みながら、オリヴィエが訊ねた。

「そうですねぇ…」

ルヴァは少し考えるように答える。

「立て続けにいろいろなことがありましたから、なかなかめまぐるしかったですね」

ゆっくりとお茶を飲み干したルヴァは、ふと何かを思いついたようににっこりと笑った。

「どうです、午前中に私がやったことを当ててみませんか」

「は？　何、それ」

「午前中にね、私は５種類の用事を済ませたのですけれど、それは全部所要時間が違っていたんです。今からいくつかのデータを差し上げますから、何時から何時まで何をしていたのかを当ててください」

「はぁ…あんた、そんなに疲れてるのに、それまでパズルにしちゃうわけ？」

「それがルヴァ様ですから…」

呆れるオリヴィエに、リュミエールが微笑みかける。

「わかった。じゃあ言ってみて」

オリヴィエはあきらめたような笑いを浮かべる。
こうして問題を考えたり解いたりすることが、ルヴァにとっては疲れをほぐす気分転換になることを、なんだかんだ言っても、オリヴィエは充分理解していた。

「えぇ、じゃあいきますよ。
今朝、９時３０分から１２時までの間に、私は５つのことを続けてしました。空いた時間はありませんでしたし、同時に２つ以上のことをしているときもありませんでした。
１０時３５分にはジュリアスと一緒にいました。
３番目にしたことは１０分間で、４番目にしたことは５０分間です。
王立研究院の職員が帰ったのと入れ替わりにジュリアスがやってきました。
２０分かけて資料の検索が終わったときにオスカーがやってきました」

一気にしゃべって、ルヴァは、どうです？というように小首を傾げて２人を見た。

「あの、ルヴァ様、なさったことと、かかった時間を教えていただけますか」

リュミエールが苦笑しながら訊ねる。

「あぁ、それを言っておかないとわかりませんよね。えーと…
したことは、「資料の検索」「提案書類の作成」「ジュリアスと相談」「オスカーと打ち合わせ」「王立研究院との打ち合わせ」の５つです。
かかった時間は、１０分、２０分、３０分、４０分、５０分でした。
さぁ、これでわかりましたか」

「…ちょっと待ってください…」

「…あれ、おかしいな…」

メモ用紙代わりの紙ナプキンにいろいろ書き込みながら考える２人。
その様子を見てにっこり笑うと、ルヴァはお茶のお代わりを注文した。

問：ルヴァは、何時から何時まで何をしていたのでしょう。
　考え方も書いてくださいね。

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