第１問です

【№１５２】

Q1

「なんだか暑いよねぇ～」

オリヴィエがやれやれといった口調でつぶやいた。
リュミエールがクスッと笑う。

「『夏』ですからね」

「そんな設定いらないって。万年常春の聖地でいいじゃん」

「そんなに夏を嫌わないでください、オリヴィエ」

お茶を勧めながらルヴァが微笑む。

「別に嫌ってるわけじゃないけどさ。子供のころから夏は好きだったし…」

「そうですね、あなたの出身は寒い星でしたから、夏は好まれたでしょうねえ」

「ああ。短い夏はホント楽しみだったし、冬の間は夏を待ちこがれていたものだったね」

しばし、遠い昔を懐かしむようにしていたオリヴィエは、「だけどね」とルヴァを見詰めた。

「昔のことは昔のことだよ。聖地のこの気候にもうすっかり馴染んでしまったからさ、暑いのはゴメンだよ」

「まあ、たまにはいいじゃありませんか。あなたは変化を愛する方でしょう？」

「うん、まあ、それはそうだけど…」

言いながら無意識にグラスに口を付けたオリヴィエは、「おや？」と手にしたグラスを見直した。

「これ、ただの冷たいお茶じゃない感じがする」

「さすが鋭いですね、オリヴィエ」

ルヴァはリュミエールと顔を見合わせて嬉しそうに笑った。

「何？何かいわくがありそうだね。リュミちゃんも知ってるの？」

「ええ。わたくしも最初は驚きましたから…」

「もう体験済みってわけか」

オリヴィエはもう一度ゆっくりとグラスの中身を味わう。

「でも、やっぱりお茶だよねえ。う～ん…ただお茶を冷やしたっていうよりうんと美味しいんだけど、何が違うのかはよくわからないなあ…」

オリヴィエは首を傾げてルヴァを見た。

「どういうこと？」

ルヴァはクスっと笑った。

「ただの緑茶、といえばただの緑茶には違いないんですけれどね…」

そこで言葉を切って、ルヴァは美味しそうに湯飲みを傾けた。
オリヴィエは軽く肩を竦めると、おとなしくルヴァの言葉を待った。
満足そうな笑顔でルヴァは話を続ける。

「普通は、お湯で淹れた熱いお茶を氷で冷たくしたりしますけれどね、これは冷たい水で淹れたお茶なんです」

「冷たい水で？」

「ええ。良質のお茶の葉を選んで、冷たい水でゆっくりゆっくり抽出するんです。時間は掛かりますけれどね。美味しいでしょう？」

「うん。こんなの出してくれるんなら暑いのもいいななんて思っちゃうよ」

オリヴィエは美味しそうに飲み干してお代わりをねだった。

「ところで、来週なんですけれどね」

冷たい緑茶を味わいながら、ふとルヴァが言った。
どこか笑いたいのを抑えている気配が感じられる。
オリヴィエとリュミエールは、なんだろうとルヴァを見詰めた。

「あなた方中堅と言われる３人と子どもたち３人には、研修を受けていただくことになります」

「え～何それ。聞いてないよ、そんなの」

「ええ。急に決まったんです」

「何か、緊急なことでも起こったのですか」

「そうでもないんですけれどね…」

ルヴァは楽しそうに笑った。

「せっかくの『夏』ですからね。いろいろな文化における『夏』を理解していただくのも必要だろうということで、いくつかの土地に行って『夏』を体験してきていただきます」

「へ～。つまり、夏のバカンスに行ってこいっていうこと？」

「そうは言いませんが、まあそれに近いですね」

「いいね～。そういう研修なら大歓迎だよ。やっぱり海辺がいいかなあ」

オリヴィエの頭の中では、既にいろいろな計画が展開し始めているようだ。

「ルヴァ様、それは６人揃って出掛けるのでしょうか」

「いいところに気が付きましたね、リュミエール」

ルヴァはにっこりと笑った。

「３組に分かれて出掛けます」

「３組、ですか」

「ええ。中堅１人と年少１人の組み合わせになります」

「え～～～」

オリヴィエが不満そうな声を出す。

「ガキどもの誰かと２人で行くのぉ～」

「はい」

「ほとんど保護者じゃない。やだなぁ…。あ、でもマルセルあたりだと楽かも。お化粧なんかもできちゃうしね～。ランディなら重い荷物持たせても平気だろ～し。メカ系統ならゼフェルが便利だし…」

オリヴィエは、誰と行くのかを「う～ん…」と考え出した。
リュミエールはその様子を見てクスッと笑う。

「組み合わせは希望が出せるのですか」

リュミエールの問いに、ルヴァは「いいえ」と首を振った。

「王立研究院が組み合わせを決めていますよ」

「そうですか」

「ね、誰と？　私、誰と組むの？」

オリヴィエがルヴァに迫る。

「それはそのときまで内緒…とはなっていますけれど、知りたいですか」

「うん。知りたいね。いろいろ対策も必要だしさ」

「そうですか」

クスッとルヴァは笑った。

「じゃあヒントを差し上げますから、考えてください」

「あ…　やっぱりそういうことになるんだ」

「よろしいではありませんか、オリヴィエ。解けばいいだけのことですよ」

「うん、そーだね。ＯＫ、ルヴァ。ヒントを言ってよ」

「ええ。じゃあいきますよ。

中堅１人と年少１人の組み合わせです。
この組み合わせについて、６人がこんなふうに話しました。
【中堅】
オスカー「俺はランディと組んでるぜ」
オリヴィエ「私はゼフェルと組んでるね」
リュミエール「わたくしはマルセルと組んではいません」
【年少】
ランディ「中堅の中では１人だけウソをついています」
ゼフェル「俺ら年少の中では１人だけがホントのこと言ってるぜ」
マルセル「オスカー様とランディは組んでません」

さあ、組み合わせを考えてください」

「ルヴァったら、物真似うまいじゃん」

「笑っている場合じゃありませんよ、オリヴィエ。ルヴァ様のヒント、ちゃんと聞いてました？」

「うん、聞いてた聞いてた。大丈夫だって」

「では考えましょうか」

「うん」

　　問：３組の組み合わせを答えてください。