【№１５１】


Q2



「…なんてことがあったんだよ」

土の曜日、地の館では中堅３人が訪れて、いつものようにまったりとお茶会が開かれている。
オリヴィエは昨夜のことを楽しそうに話した。

「おや、それは面白い問題ですねえ」

酒の場で出てきた問題に、ルヴァは興味を持ったようだった。

「答をだすより先に飲みまくっちゃったけどね～」

オリヴィエはキャハッと笑った。

「ややこしいこと考えながら酒が飲めるかって」

オスカーがフンと笑う。

「そうですね。お酒なしで考えないと無理でしょうね…」

リュミエールはクスクスと笑っている。

そんな３人を見ながら、ルヴァはニコニコと微笑んで湯飲みのお茶を飲み干した。



「あなたたちを見ていると、同年代の仲間というのはいいものだなあと思いますねえ」

お茶請けの菓子をつまみながら、ルヴァが言った。
３人は顔を見合わせて微笑む。

「ルヴァたちはどうなの」

「え？」

オリヴィエの問いにルヴァが首を傾げる。

「ルヴァとジュリアスとクラヴィスだって、同じような年でしょ」

「ああ、そういうことですか。ええ、まぁ年齢は同じようなものですねえ」

ルヴァはうんうんとうなずく。

「年齢でひとかたまりに扱われることは確かにありましたね。ジュリアスとクラヴィスは幼いころからず～っと長い間一緒に守護聖をしていて、私はずいぶん後になってから聖地に来ましたから、同期という感じでもありませんでしたけれど…」

話の途中で、不意にルヴァはクスクスと笑った。

「どしたの？」

「いえ、ちょっと思い出したんです。カティスには３人まとめて子ども扱いされていたなあということを」

「なにか、具体的なエピソードがおありのようですね」

リュミエールが尋ねる。

「ええ、まあ…いくつかね」

「何か聞かせてよ」

オリヴィエがねだる。

「そうですねえ…」

ルヴァが微笑みながら考え始める。
オスカーがちょっと警戒するような顔付きになった。

「オスカー、どうかしましたか」

リュミエールが小声で尋ねると、オスカーはギクッとして「ああ…」とつぶやいた。

「なんです？」

「いや…ルヴァの思い出話は、たんなる思い出話だけじゃなくて、ややこしい問題になるんじゃないかと思って…」

怯えるようなオスカーは妙に可愛らしい。
リュミエールはクスクスと笑った。

「そうなるかもしれませんね」

「やめてくれよ。俺はやだぜ」

「ルヴァ様が問題を出されるなら、解けばいいじゃないですか」

「お前なあ」

オスカーがため息をついたそのとき、ルヴァはにっこりと笑って話を始めた。

「私が聖地に来てしばらくした頃ですが、こんなことがありましたよ…」

３人は、ルヴァの楽しそうな表情に見惚れながら、話を聞いた。

「カティスは私たちに悪いこともいっぱい教えてくれました。カードとかお酒とかね。聖地を抜け出して遊びに行く方法を教えてくれたのもカティスでした。ある日、４人で“外”の大きな雑貨店に行ったんですよ。少しぐらいなら買い物していいぞって言って、カティス自身も私たちと同じように‘ちょっとした買い物’をしました。私は砂漠の出身で買い物なんてあまりしたことがありませんし、ジュリアスとクラヴィスは小さいときから聖地で過ごして買い物には縁がありませんでしたから、お店でモノを選ぶということが楽しくって、店中を歩き回ったものです」

ルヴァは懐かしそうな笑顔を浮かべていた。
３人はその顔に見惚れながら、ルヴァの次の言葉を待った。

「そのときに、私たちは４人とも、ペン、ペーパーウェイト、ポストカード、ペーパーナイフのうちの１品以上を買いました。同じものを２つ以上買った人はいません。値段は全部違っていて、順不同に１０ゴールド、２０ゴールド、３０ゴールド、４０ゴールドでした。ええ、もちろん同じ品物は同じ値段でしたよ。」

「絶対これは問題になるねえ」

オリヴィエは面白そうに笑ってオスカーにささやく。
オスカーは真剣な表情でルヴァを見ていた。

「ヒントを言いますから、誰が何を買ったのかを当ててみませんか」

ルヴァはにっこり微笑んで中堅守護聖たちを見回した。
オリヴィエとリュミエールは楽しそうな笑顔で、オスカーはいささか引き攣った笑顔で、うなずいた。

「じゃあ、ヒントをいいますね。

１）ペンは２０ゴールドでした。
２）クラヴィスと私は使った金額が同じでした。
３）どの品物もジュリアスかクラヴィスが買っています。ジュリアスとクラヴィスがともに買ったものはありません。
４）クラヴィスと私がともに買ったものはペーパーウェイトだけでした。
５）ジュリアスも私もペーパーナイフを買いませんでしたが、それ以外の３点はジュリアスか私のどちらかは買っています。
６）カティスと私がともに買っているものはありませんでした。

ヒントはこれだけです。いかがですか」

湯のみを手に、ルヴァはにっこりと微笑んだ。
　　　問：４人が買ったものがそれぞれ何だったかを当ててください。


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