Q2


「うん、苦労したのに見合うぐらい美味しい饅頭だったね」

満足気な笑顔でそう言って、オリヴィエはお茶を飲み干した。
リュミエールも、同じような笑顔でうなずく。

「ええ、そうですね。とても美味しかったです」

「そう言っていただけると嬉しいですねえ。取り寄せた甲斐がありましたよ」

ルヴァは、嬉しそうに微笑む。
オスカーだけが浮かない顔でいた。

「あの、オスカー…。お饅頭、お気に召しませんでしたか」

心配そうな声を掛けられて、オスカーは慌てて首を振る。

「いや、全然そんなことはない。俺は甘いものは苦手だが、これは上品な甘さで美味かったぜ」

「そうですか。それならいいんですけれど…」

「ルヴァ、心配することないよ。オスカーは頭使って疲れてるだけだからさ」

「ああ…」

オリヴィエの言葉に、ルヴァはホッとしたような笑顔になる。

「その説明で納得されるのって、なんかヤだな…」

ポソリとオスカーがつぶやいて、みんな大笑いになった。




「そういえば、王立研究院に可愛いお嬢ちゃんたちが何人か研修にやってくるそうだな」

お茶を飲み干したオスカーが、ふと思い出したように言った。

「おや…耳が早いですねえ。その話は昨日の午後に出た話ですから、あなたは視察に行っていて留守だったでしょう？」

ルヴァが苦笑しながら答えると、オスカーはフフンと笑った。

「女性の話題を聞き漏らすような俺じゃないぜ」

「さすがですね、と申し上げるべきでしょうか、オスカー」

「リュミエール、それ、褒められてる気がしないんだが…」

「ええ、褒めていませんから」

冷ややかな眼差しで、リュミエールはオスカーを見詰めた。
オリヴィエが膝を叩いて爆笑する。

「チェッ」

オスカーは拗ねたように肩をすくめる。

「まあいいや。それより、どんなお嬢ちゃんたちなのか、ルヴァは知ってるのか」

「ええ、少しはね」

「聞かせてくれよ」

「そうですねえ…」

「ダメだよ、ルヴァ。危険なオオカミに情報を与えちゃ」

まだ収まらない笑いを浮かべながら、オリヴィエがルヴァを止める。

「そうですよ、ルヴァ様」

リュミエールもオリヴィエと同じようにうなずいてルヴァを見詰める。
ルヴァはクスクスと笑った。

「実際に彼女たちの研修が始まったら、隠しておくわけにはいきませんからね。少しくらいは大丈夫ですよ」

ルヴァはオスカーに向かってゆっくり話し始めた。

「研修にいらっしゃるのは５人ですけれど、その中に双子が１組います。
５人は主星の研究機関に付属する大学の１年生から４年生で、双子の２人はもちろん同じ学年ですが、あとの３人はみな他の４人とは違う学年です」

「へえ。年齢に幅があるんだな」

「ええ。５人の名前はアリス、カレン、ルイス、ジェニー、マリア、専攻は、天文学が２人、物理学が２人、心理学が１人なんですが、これから言うヒントから、５人の学年と専攻を当ててごらんなさい」

「は？」

一瞬、何を言われたのかわからずに、オスカーはきょとんとしてルヴァを見詰めた。
オリヴィエとリュミエールは面白そうに笑みを浮かべる。

「オスカー、せっかくルヴァ様が教えてくださるのですから、ちゃんと解いてくださいね」

「…わかったよ。ルヴァ、ヒントをくれ」

オスカーは覚悟を決めたように言った。
ルヴァは嬉しそうに微笑む。

「じゃあ、ヒントをいいますね。

１）天文学専攻の２人は２学年以上離れています。
２）カレンは物理学専攻の１人より１学年上で心理学専攻の人より２学年上です。
３）ルイスは２年生ではありません。
４）天文学専攻の１人は、マリアより１学年上で、物理学専攻の１人より２学年上です。
５）ジェニーは心理学専攻ではありません。

さあ、ヒントはこれだけです。５人の学年と専攻を当ててください」

「う〜ん…」

オスカーは額にしわを寄せて悩んでいる。

「正解できたら、お嬢さんたちに『頼りになる人です』って紹介してあげますよ」

ルヴァはクスッと笑った。
そんな言葉も、オスカーには届いていないようだった。
問：５人の学年と専攻を当ててください。


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