【№１３５】


Q2


「へえ～、意外と簡単に解けるものなんだな…」

オスカーが、腕組みをして感心したようにつぶやいた。

「途中でうっかりミスさえしなければオスカーにも解けたと思いますよ」

「リュミちゃん、オスカーを甘やかしちゃダメだよ。勘違いして自分ができるとか思っちゃうからさ」

「オリヴィエ…」

リュミエールはオリヴィエの顔を見ながら面白そうに笑った。

「チェッ」

オスカーはちょっと拗ねたように冷めたお茶を飲み干した。


「ルヴァ、まだかな」

ドアの方を振り返りながらオリヴィエがつぶやいた。

「そうですね。なにか厄介な事態になっているのでしょうか…」

リュミエールも心配そうにそちらを向く。
チラリとそちらを見て、オスカーはフッと笑った。

「深刻なことが起こってるんなら、研究院に行くとかするだろ。ここで済んでるんならたいしたことはなんじゃないか」

「武人のくせに楽天的だね。でも、ま、それもそうだね。のんびり待ってよっか」

「新しいお茶を淹れましょうか」

「うん、そうだね」

３人は改めてお茶を淹れ茶菓子をつまんで、世間話を始める。


「で、オスカー」

「なんだよ」

「昨日の視察、さっきの問題以外に何か面白い話はないの？」

好奇心いっぱいのオリヴィエの様子を見て、オスカーは「そうだな」と考える。

「視察自体は特に変わったことはなかったぜ。ただ…」

「ただ、何？」

「研究員の何人かとディナーに行ったんだが、向かい側に座った５人が食前酒もスープもメインディッシュのステーキもデザートのアイスも全部違ってて面白かった」

「何、それ」

「ま、メニューの豊富な店だったがな」

「へえ～」

「えーと…

ポークステーキを食べてたヤツの隣は卵スープを飲んでたし…、
ラムステーキを食べてたヤツはビーフステーキを食べてるヤツの左隣だった。
ジャンはトマトスープを飲んでた。
アランはビーフステーキとチョコレートアイスを食べてた。
梅酒を飲んでたのはアランの隣のヤツだ。
赤ワインを飲んでたヤツの隣はレオンで、
白ワインを飲んでたヤツの左隣は抹茶アイスを食べてたな。
ポークステーキを食べてたヤツは左端にいたぜ。
カボチャのスープを飲んでたヤツのデザートはイチゴアイスだった。
ミントアイスとアワビのステーキを食べてたヤツは、卵スープを飲んでたヤツの隣だった。
シャンパンを飲んでたヤツの両隣は白ワインとキールを飲んでたな。
サーモンステーキを食べてたヤツの隣のヤツはバニラアイスだったぜ。
カールはコーンポタージュを飲んでて、ロイの左隣だった…

覚えてるのはそのくらいだな。
ああ、左とか右とかってのは俺から見て左とか右ってことだぜ。
どうだ、俺の前にいた５人、左から順に誰がいて何を食べてたか、わかるか？」

「何、問題なの？」

「ああ。どうだ、わかるか」

「オスカー、あんたそれ自分で考えたの？」

「考えたっていうか、覚えてること全部言っただけだが」

「あんたの記憶か…。それで解けるのかな」

「それだけデータがあれば大丈夫じゃないでしょうか。とにかく考えてみましょう」

「そうだね。見事解けたらオスカーの記憶力を褒めてあげるよ」

オリヴィエはリュミエールに向かってうなずくと、オスカーを見てフフンと笑った。

「だけどさ、解くのはともかく、オスカーが正解を覚えているかどうかが不安じゃない？」

「ああ、そうですね」

リュミエールとオリヴィエは面白そうに笑いながらデータを確認し始めた。

「オスカー、スープの種類が４種類しかありませんが…」

「え、そうだったか？」

オスカーはリュミエールのメモに目を走らせる。

「…そうだ、キノコスープを飲んでるヤツがいたっけ」

「キノコスープですね」

リュミエールはメモに新たな情報を書き込んだ。
　　　問：左から順に、名前と食前酒、スープ、ステーキ、デザートを答えてください。


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