第１問をどうぞ

Q1

「さて、お茶のお代わりはいかがですか？」

柔らかな微笑と共に、ルヴァが言った。
皆、それぞれにカップを差し出してお代わりを受ける。
土の曜日の地の館は、いつもながらのお茶会日和だった。

「ここんとこ、宇宙も聖地も平和だよね～」

平和なのがちょっと物足りないとでもいうような口調で、オリヴィエがつぶやく。

「平和ではいけませんか？」

クスクスと笑いながら、リュミエールがささやいた。

「別にいけないってことはないけどさ…。でも刺激のない生活ってのもつまんないじゃない」

「お前の生活に刺激を与えるために事件が起こるなんてのは、俺が許さん」

オスカーが真面目な物言いで口を挟む。
オリヴィエは怪訝そうな眼差しでオスカーの方に向き直った。

「どういうこと、それ」

「聖地の警備は俺の管轄だからな。お前の楽しみのために事件が起こったりするのは許さんということだ」

「いーじゃない、事件の１つや２つ。生活のスパイスってヤツでしょ」

「そんなことになったら、お前にも警備の任に就いてもらうぞ」

「そんな汗臭いこと、私には似合わないよ」

「似合おうが似合わなかろうが、やってもらうからな。それがイヤなら事件起こすな」

「あのね、オスカー。何も私が事件起こそうって言ってるんじゃないんだけど…」

面白そうに２人の会話を聞いていたルヴァとリュミエールは、とうとう笑い出した。
笑いながら、ルヴァが割って入る。

「２人とも、そのお話はそれくらいにしてはいかがですか。お茶が冷めますよ」

「あ、ああ…。すまん」

「オスカーがヘンな茶々入れたせいだからね」

「茶々とはなんだよ」

「オスカー」

オリヴィエに何か言おうとしたオスカーを、ルヴァが柔らかく制する。
オスカーは苦笑いを浮かべてお茶を飲んだ。

しばらくは、みんな穏やかにお茶を楽しんでいた。
そのうちに、ルヴァがオリヴィエに向かってクスッと笑った。

「オリヴィエ…」

「え？」

「平和で刺激がないとおっしゃるのなら…」

「あ…なんだか悪い予感がする」」

オリヴィエと同じ予感を、リュミエールもオスカーも感じたらしい。
３人は、少し緊張してルヴァの言葉を待った。

「刺激になるような問題を差し上げましょうか」

「あ、やっぱり…」

一瞬たじろいだオリヴィエは、すぐににっこりと笑った。

「せっかくのルヴァの好意だもんね。ありがたくいただかなくっちゃ。いいよ。頑張って解いてみるから、問題言ってよ」

「ええ、じゃあ行きますよ。こんな問題です。

ここに、１．８リットル、１．６リットル、１．２リットルの水が入る容器があります。
今水瓶に４．２リットルの水があるのですが、この水を３つの容器を使って３等分、つまり１．４リットルずつに分けるには、どのようにしたらいいでしょうか。

最小の手数で考えてくださいね」

「おや、久し振りにこの手の問題が出たね。よし、考えてみよう。リュミちゃんとオスカーも考えてよね」

「ええ」

「俺もか！」

「うまく解けたら、取っときのワインを開けてもいいですよ」

ルヴァの言葉に、逃げ腰だったオスカーの瞳が輝く。

「そういうことなら、俺も考えなくっちゃな」

いそいそと考え始めるオスカーを見て、他の３人は笑いを抑えるのにいささかの努力が必要だった。

問：最小の手数でうまく分ける手順を示してください。