では第１問です

Q1

宇宙の運行に休みは無い、とはいうものの、守護聖たちにも王立研究院にもそれなりに新年の休暇がある。
新年の祝賀式やパーティーなどの公的行事以外は、それぞれ気ままな時間を過ごしていた。
とはいえ、まあ普段の休日とそれほど変わりはない。
年少守護聖たちは、やっぱり３人でゲームをしたりゴロゴロしたりしていた。

「これで終わりっと。また俺の勝ちだな」

「ゼフェルったら強過ぎだよ。いくら自分で作ったゲームだからってさ」

「俺が強いのは、別に、俺が作ったゲームだからじゃねーぞ」

マルセルの抗議にゼフェルが言葉を返す。

「なんなら、市販のゲームを何かやってみるか？」

「そこまでしなくてもいいけどさ…。何？　ゼフェルってば市販のゲームも持ってるの？」

「ああ。参考にするためにいろいろ取り寄せたのがあるんだ。だけどな…」

「何？」

「俺が作ったヤツの方が絶対面白いぞ」

ゼフェルは得意そうに笑った。
マルセルは苦笑めいた笑いを浮かべて肩をすくめる。

「なあ、ゲームもいいけど、何か食べないか？」

ゼフェルとマルセルの対戦を観戦していたランディがのんびりとした声を掛ける。

「そろそろお昼だろ」

「さっきから食べてばっかりいるくせに何言ってやがる」

「え～、だって食べてるのはお菓子じゃないか。お昼ご飯はちゃんと食べなくちゃいけないだろ」

「ああ、まあてめーはそうだろーな」

「ゼフェルだってそうだよ。僕もお腹空いたし、ランディのいうようにランチにしようよ」

マルセルにも言われて、ゼフェルは仕方ないというようにうなずいた。

「んじゃ、そうしよーぜ。で、何か食いてーものあるか？」

「そうだねぇ。ランチだし、そんなに大げさなものでなくていいんじゃない？」

「俺はなんでもいいよ。ハンバーガーでもホットドッグでも」

「おい、ランディ野郎、一応うちの厨房にもちゃんとした料理人はいるんだぜ」

「そのちゃんとした料理人に、ゼフェルはちっともまともなお料理をリクエストしてないけれどね～」

マルセルがクスクスと笑う。

「ほっとけ。俺はややこしい料理なんて食いたくねーだけだ」

「ややこしい、ねえ」

マルセルはまたクスクスと笑った。
ゼフェルはチェッと小さくつぶやく。

「じゃあさ、ピザはどうかな」

じっと考えていたランディが言った。

「この間出してもらったピザ、美味しかったからさ、また食べてみたいな」

「そうだね。僕もまた食べたいな。ゼフェル、ピザ頼んでよ」

「ピザか。うん、いいな。そーしよーぜ」

ゼフェルは厨房に要望を伝えるために立ち上がった。

しばらくして、ピザやサンドイッチ、サラダ、飲み物、デザート、フルーツなどが運ばれてきた。
テーブルの上を見回して、ゼフェルがげんなりとした顔になる。

「なんで、あいつらは余分なものをこんなに付けてくんだよ」

「何言ってるんだ。いっぱい作ってもらった方がいいじゃないか」

「俺はピザを３－４枚と飲むモン適当にって言ったんだぞ」

「それはちゃんと来てるじゃないか」

「それ以外のものがこんなにあるのはなんでだよ」

「ゼフェルがいつもあんまり食べないから心配してもらってるんじゃないのか？」

「なんだよ、それ」

「２人とも、いいじゃないそんなこと。それより早く食べようよ。どれも美味しそうだよ」

そう言うと、マルセルはゼフェルを見てにっこりと笑った。

「何笑ってんだよ」

「まあ、みんながいなくなってから悪態をつくあたりがゼフェルの優しいところだよね～」

「バカヤロー。妙なこと言うんじゃねー」

ワイワイと３人は食べ始める。
しばらくは元気よく食べる音ばかりが飛び交っていた。

「ねえねえ」

ピザの最後の１切れを手にして、マルセルがゼフェルとランディを見た。

「なんだよ」

「今、パズルの問題を思いついたんだけど、解いてみない？」

「パズルだぁ？　ルヴァみてーなこと言うなよ」

「えー、いいじゃない」

「うん、そうだな。せっかくマルセルが思いついたって言うんだから、頑張れよゼフェル」

「何言ってんだ、ランディ。考えるんならお前も一緒にやるんだろ」

「俺、食べることで忙しいからいいよ。どうせわからないからさ」

「ルヴァの問題じゃねーんだから、わかるかもしんねーぞ。とにかくやってみろ」

「あ～、ゼフェル、さりげなくひどいこと言ってない？　僕の問題だってそんなに単純じゃないよ」

マルセルがプンと膨れる。
ゼフェルがニッと笑う。

「まあいーじゃん。さあ、問題言ってみろよ」

「うん。じゃあ言うよ。２人ともよく考えてね」

マルセルは楽しそうに話し始めた。

「料理人が４人いてね、みんな正直な人かウソツキかどっちかなんだ」

「どういうことだ？」

ランディが不思議そうに尋ねる。

「あのね、正直な人はいつも必ず本当のことを言って、ウソツキはいつも必ずウソをつくんだよ」

「そんな変な人いるのか？」

重ねて尋ねるランディに、マルセルが答えるより先にゼフェルが言った。

「いるってことにして考えるんだよ。これはパズルだかんな。ルヴァの問題にもよく出てくるだろ」

「あ、ああ、そうか。パズルだもんな。うん、わかった」

うなずくランディを不安そうに見ながら、マルセルは問題を続けた。

「もっかい言うよ。

４人の料理人がいて、それぞれ正直な人かウソツキかどっちかなんだ。
正直な人もウソツキも、どちらも少なくとも１人はいるんだよ。
で、今オーブンの中でピザが焼けててね、そのピザが何のピザか聞いたらこんなふうに答えたんだ。
　Ａ：サラミピザです。
　Ｂ：シーフードピザです。
　Ｃ：トマトとバジルのピザです。
　Ｄ：シーフードピザです。
続けてそのピザの大きさを聞いてみたら、こんな答だったんだよ。
　Ａ：Ｍサイズです。
　Ｂ：Ｍサイズです。
　Ｃ：Ｌサイズです。
　Ｄ：わかりません。

さあ、このピザの中身と大きさがわかる？」

言い終わってマルセルはにっこりと笑った。
その顔を見ながら、ゼフェルは、やっぱりマルセルはどこかルヴァに似てきたんじゃないか、と考えていた。

問：このピザの中身と大きさを答えてください。どう考えたのかも書いてくださいね。