Q2

「クラヴィスまで巻き込むとは、惑星トーラス恐るべし、だねぇ」

ランチのデザートをつつきながら、オリヴィエは面白そうに笑った。
昨日の出来事を思い出して、ルヴァとリュミエールも、そうですねぇと微笑む。
今日も聖地はまったりと平和だった。

「よお、もうランチは終わりか」

陽気な声が掛かって、そちらを見るとオスカーが笑っていた。

「私たちはもう終わりだけどね。まあ、こっちにおいでよ」

オリヴィエが空いた席を示す。
オスカーは「ああ」と素直に腰をおろした。
注文を聞きにきたウェイトレスの女の子が、オスカーと話しながら頬を染めるのを見て、オリヴィエはリュミエールの袖を引いて目配せをした。
リュミエールが苦笑を浮かべて、「オリヴィエ…」と声には出さずにたしなめる。

「ねえ、オスカー」

楽しそうにオリヴィエが尋ねる。

「何だ」

「あれから、ジュリアスはどう？　あんたも惑星トーラスのことで問題を出されたりしてる？」

「ん？　ああ、あの星か。そうだな、何度か質問された。なんとか答えることができてホッとしたぜ」

「へえ～、答えられたんだ。よかったじゃない。私たちに感謝しなさいよ」

「なんでお前に感謝するんだよ」

「私たちと考える練習をしたから、ジュリアスの前で面目が保てたんでしょ。突然聞かれたら、見事にデクノボウぶりを発揮してジュリアスに呆れられたと思うよ」

「なんだよ、そのデクノボウってのは。…ま、そうだな、ルヴァには感謝してもいいかな」

「おや、なんだか妙に素直な感じがするねぇ…」

裏側を見透かすような眼差しで、オリヴィエはオスカーを眺めた。
少し首を傾げるようにして、リュミエールもオスカーを見詰める。

「オスカー、あなた、ひょっとして、ルヴァ様に何か相談したいことがあるのではありませんか」

リュミエールの言葉に、オスカーは目に見えるほどの動揺を見せた。
オリヴィエがニヤリと笑う。

「へえ～、そういうこと。なるほどね～」

「なんだよ。何か文句あるか」

「文句なんてないよ。で、何の相談？」

「なんでお前が聞くんだよ」

「そりゃ、もちろん相談に乗ってあげようという優しい心配りに決まってるじゃない」

「どこが優しいんだよ。好奇心バリバリの目してるぞ」

果てしなく続きそうな２人の会話に、申し訳なさそうにルヴァが言葉を挟む。

「あの、いつまでもあなたたちの掛け合いを聞いているわけにもいきませんからね。オスカー、何か話があるなら言ってください。…あ、もし極秘のお話なら、後で伺いますけれど」

「あ、いや…、それほど秘密ってわけでも…。わかった。それじゃ聞いてくれ」

オスカーはグラスの水を一気に飲み干すと、話し始めた。

「俺が明日から視察に行くこと、知ってるだろ。さっき別件で研究院行ったついでに、研究院からは誰が俺と一緒に行くのか聞いたんだよ。そうしたら、知ったヤツらの他に、あと２人、新人研修を兼ねて同行することになったって言われたんだ」

「ああ、この間、新人が何人か配置されましたからねぇ」

「で、なんてヤツが行くのかって聞いたら…あのヤロー、データをやるから当ててみろって言いやがったんだ」

「ははぁ、いつもの研究員にまた弄ばれたってわけだね。自分では解けないからルヴァに泣きついてきたんだ」

オリヴィエがフフンと笑った。
オスカーがムッとして何か言い返そうとする。
それに構わず、ルヴァはオスカーに尋ねた。

「で、そのデータというのはどんなものだったんです？」

「あ、ああ…こんな内容だった」

オスカーはメモを取り出す。

「えーと、

新人は全部で６人いる。
名前は　カルア、マルク、オーグ、ライト、クリフ、サシャ、年齢は全員違っている。
同行者２人のうち１人はカルア。
カルアは最年長でも最年少でもない。
６人の中に１０代は２人いる。
最年長と最年少の年齢差は９歳。
最年長のヤツの年齢は偶数。
オーグとクリフの年齢差は４歳、オーグとマルクは１歳差。
もう１人の同行者はカルアより３歳年下。
カルアの年齢は３の倍数ではない。
２０歳のライトはカルアより年下だが、同行者ではない。
サシャは２５歳以下。

これだけあったら、もう１人の同行者が誰かということと、全員の年齢がわかるはずだって言われたんだが…」

「ええ、そうですね。充分わかりますよ」

ルヴァが気軽にうなずくと、オスカーの顔がパッと明るくなった。

「そうか！　誰なんだ、教えてくれ」

「あ～、答をお教えするより、そんなに難しくありませんから、考えていただきましょうか」

「は？」

「ちゃんと整理して考えれば簡単ですよ。オスカーだけでなく、オリヴィエとリュミエールにも考えてみていただきましょうか」

ルヴァは微笑んで２人を見る。

「いいね。考えてみようじゃない」

「ええ。それだけデータがあれば大丈夫だと思います」

オリヴィエとリュミエールはルヴァに笑顔を返した。

「結局そういうことになるのかよ…」

オスカーは、ブツブツとぼやき始める…。

問：オスカーに同行する新人は、カルアと誰でしょうか。６人全員の年齢も明らかにしてください。

おわかりになった方は、下のアイコンから解答ページにお進みください。

今回の解き心地はいかがでしたか。