では第２問をどうぞ

Q2

光の執務室の扉が控えめにノックされる。
ジュリアスが返事を返すと、静かに扉が開いてルヴァが入ってきた。

「ジュリアス、今ちょっといいですか～」

「あぁ、少し待ってくれ…あとは署名をすればこれが片付く…」

視線を上げてチラリとルヴァを見たジュリアスは、そう言うと手元の書類の処理を急いだ。

「お待ちしてますから、急がなくていいですよ～」

おっとりとルヴァは微笑んだ。
そういううちにジュリアスは書類を仕上げ、処理済のトレイに放り込んで、顔を上げた。

「ルヴァ、待たせてすまなかった。用件は何だ」

「ええ、これなんですけれどね…」

ルヴァは持参した書類と資料をジュリアスの前に広げ、説明を始めた。
ルヴァが話し終わって、しばらくの間ジュリアスは黙ったまま考えた。
いくつかの質問がなされたあと、ジュリアスは大きくうなずく。

「そなたの意見はよくわかった。確かにそちらの方法の方が効率よく進めることができるようだ。次の会議ではそなたの意見に沿った方向で提案することにしよう」

「ありがとうございます、ジュリアス。わかっていただけて嬉しいですよ～」

ルヴァは嬉しそうににっこりと笑う。
つられたようにジュリアスもにっこり微笑んだ。

「ルヴァ、この後急ぎの案件は残っているのか？」

「いえ、午前中はもうこれで終わりですけれど…」

それが何か？とルヴァはジュリアスを見詰める。

「何かご用がおありですか？」

「いや、用というわけではないが、私も今ので一段落ついた。茶でも淹れて一休みしようと思うのだが、付き合わぬか」

「いいですね。お相伴しましょう」

ルヴァは勧められるままにソファに腰をおろした。

「そなたとゆっくり茶を飲むのも久し振りだな」

「そういえばそうですね」

「たまにはチェスの相手をしに来てくれ。この間の雪辱を果たしていないままだ」

ジュリアスの言葉に、ルヴァはクスッと笑って答える。

「返り討ちという可能性もありますよ」

「いや、次には必ず私が勝つ」

「おや。では私もしっかり鍛えてお相手をしなくてはいけませんね」

「ああ。うんと強くなっておいてくれ。強ければ強いほど倒し甲斐があるというものだ」

「あなたらしい考え方ですねぇ」

真っ直ぐなジュリアスの気性を賞賛するようにルヴァは微笑む。

「チェスも楽しいですけれど、ただお茶を飲んで四方山話をするのも良いものですよ。あなたもお忙しいでしょうけれど、たまにはお茶会にいらしてください」

「ああ、近いうちにぜひ行かせてもらおう。もっとも、私が顔を出すとうるさがる者たちもいるだろうがな」

「うるさがられるのも年長者の役割ですよ」

「そうだな」

２人は顔を見合わせて楽しそうに笑った。

「最近何か面白い出来事はあったか」

お茶のお代わりを淹れながらジュリアスが尋ねた。
ルヴァは「そうですねぇ…」と記憶をたどる。

「この間、ちょっと面白いことがありましたよ」

「どんなことだ」

「マルセルがリュミエールにお菓子作りを教えて欲しいと言ってきたので、リュミエールは教えるというより一緒に作りましょうと言ったんですよ。そうしたら、オリヴィエが、せっかくだから私たちも混ざろうよって言って、結局４人でお菓子作りをしたんです」

「ほう…」

「で、みんなでケーキを焼いたんですけれど、ついでにそれぞれが少しずつクッキーも焼いたんですよ。チョコチップクッキーかココナッツクッキーのどちらかを作って、可愛らしくラッピングもしましてね、それをお互いにプレゼントしたりされたりというのを何回か繰り返したんです」

「なんだ、それは…」

「なんだということもありませんけれどね、なんだかゲームみたいで面白かったですよ。それで、最終的には４人とも一袋のクッキーを手にしてましたが、１人だけ自分の作ったクッキーが戻ってきている人がいました」

ルヴァは言葉を切って、ジュリアスを見詰めにっこり笑った。

「いくつかヒントを差し上げますから、誰がどんなクッキーを作り、最終的に誰の作ったどんなクッキーを持っていたか当ててみませんか」

「結局問題になるのか。相変わらず、そなたはそなただな。よし、見事解いてみせよう。ヒントを言え」

「ええ、じゃあ行きますよ。ここまでのことはいいですね。
ではヒントです。

１）私（ルヴァ）が作ったのはチョコチップクッキーでした。
２）マルセルはココナッツクッキーを持っていました。
３）マルセルが作ったクッキーを持っていたのは、マルセルでも私でもありませんでした。
４）マルセルとリュミエールは同じ種類のクッキーを作りました。
５）オリヴィエと私は同じ種類のクッキーを持っていました。

さあ、いかがですか」

「うむ、少し待ってくれ」

ジュリアスは手近なメモ用紙とペンを手にすると、楽しそうに考え始めた。

問：誰がどんなクッキーを作り、最終的に誰の作ったどんなクッキーを持っていたのかを答えてください。どう考えたかも書いてくださいね。

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