Q2 「さあ、新しいお茶を淹れましょうか…」 ルヴァがお茶を淹れなおそうとしたとき、執事が新たな来訪者を知らせにきた。 間もなく重々しい足音とともに２人の人影が現れる。 「ルヴァ、邪魔をするぞ」 「ああ、ジュリアス、クラヴィス、よく来てくださいました。どうぞ座ってください。ちょうどお茶を淹れなおそうとしていたところなんですよ」 「そうか。それはよいところに来たな」 クラヴィスと共に席につこうとして、ジュリアスは訝しそうに周りを眺めた。 リュミエールとオリヴィエ、マルセルは微笑んで挨拶をしてくるが、他の３人は挨拶もそこそこに、あるいはジュリアスたちの来訪にも気が付かないように机上の紙に何かを書いてはまた考えている。 「全員揃っているわりには静かだと思っていたが、これは…どうしたのだ」 ジュリアスの問いに、ルヴァは「ええ…」と事情を語った。 「なるほど、そういうことか。計算で解ける問題を要求するとは、ゼフェルも考えたものだな」 「ええ…」 「それにしては、苦労しているようだが…」 「そんなに難しい問題ではないと思うんですけどねぇ…」 ジュリアスの指摘に、ルヴァはゼフェルの様子をチラリと見て苦笑を浮かべた。 「どんな問題なんだ」 「ええ…」 ルヴァの言う問題を聞いて、ジュリアスも解き始める。 解き始めて、ふと隣のクラヴィスを見、「そなたも解くのだ」とメモを突きつけたり、解き終えて得意気にクラヴィスを見たりする様子を、手の空いた守護聖たちは、微笑ましく眺めていた。 問題を解くのに集中しているジュリアスも、物憂げにサラリと解いてしまうクラヴィスも、それぞれに見ていて楽しかった。 しばらくして、解ける人間は皆解き終わったと見たルヴァは、終了を告げた。 「では、ここまでにしましょう。いかがでしたか、皆さん」 ルヴァの声にまだ挑戦していた顔触れがペンを置く。 「時間切れか…もう少しなんだがなぁ」 「それほど難しかったのか、オスカー」 「いや…難しいというわけでは… ぅわっ、ジュリアス様っ！」 ジュリアスの存在に初めて気が付いたオスカーは、うろたえて書き散らした計算用紙を隠そうとした。 「ジュリアス様…いつここへ…」 「そなた…我々の来たのを気付かなかったか。たいした集中力だな」 皮肉ではなく、素直に賞賛しているジュリアスの言葉に、オスカーは「は…」と赤面する。 「オスカー。ジュリアスの気配も気が付かないってのは、武人としてどうよ」 オリヴィエが面白そうにツッコミを入れた。 オスカーはジロリと睨んだだけで何も言わなかった。 「じゃあ説明しましょうか」 おっとりしたルヴァの声が響く。 ルヴァの解説が終わったあとは、「あぁ！」「なんだよそれ…」「こんなややこしい言い方なんて普段しねーよな」などなどの声が乱れ飛んで、たいそうな騒ぎだった。 そのあとお茶と共に軽い食事が供された。 はからずも全員が揃うことになった守護聖たちは、和やかに様々な会話を楽しんだ。 そのうちに、話題はさっきの問題のことになった。 皆それぞれに解けた話や解けなかった話を語って笑い合った。 「…しかし、ゼフェル、『計算で解ける問題』とは考えたものだな」 ジュリアスがしみじみと感想を述べると、ゼフェルは「フン…」とそっぽを向いた。 「なにが『計算で解ける』だよ。計算に持ち込むまでが大変だったぜ」 「あんたねぇ…いくら『計算で解ける問題』ったって、まさかただの数式が出てくるわけないでしょ〜が。相手はルヴァなんだよぉ」 オリヴィエがからかうように言う。 マルセルとランディが「そうだよねぇ」と顔を見合わせた。 「まったくだな。ルヴァの問題ははたちが悪いぜ」 「ゼフェル、それは言い過ぎですよ」 リュミエールが苦笑を浮かべてたしなめる。 「チェッ」 ゼフェルは拗ねたように舌打ちをすると、椅子の背にもたれかかった。 「こんなことなら、普通の問題でもよかったぜ」 「じゃあ、普通の問題を解いてみますか」 ルヴァがサラリと提案する。 「おい、ルヴァッ、そんなことしなくったっていい！」 オスカーが悲鳴に近い声で言ったのが面白くて、皆笑った。 「そうだな、私もたまにはルヴァの問題を解いてみたい。なにか出してくれ、ルヴァ」 「ええ、いいですよ。皆さんも考えてみてくださいね」 ルヴァは楽しそうに問題を考え始める。 絶望的な目で状況を見詰めるオスカーの肩を、オリヴィエがポンポンと叩いた。 「あきらめな、オスカー。こうなったら止められやしないって」 オリヴィエの言うとおり、問題を考えているルヴァも、ワクワクと待ち構えているジュリアスも、そのジュリアスを愛しそうに見守っているクラヴィスも、皆たいそう楽しそうだった。 これを止めることなど誰にもできないだろう。 オスカーは大きくため息をついた。 「ではこんな問題でいかがです？」 問題を決めたルヴァが微笑んで一同を見回した。 「うむ、言ってくれ」 ジュリアスがうなずく。 「では行きますよ。いいですか？」 ルヴァは楽しそうに問題を話し始めた。 「ここに５人の少女がいます。 名前は、アニー、カレン、レオノラ、グレタ、パメラです。 このうち、アニーとカレンはつねにウソをつきますが、レオノラとグレタとパメラはつねに本当のことを言います。 次のデータから、だれがどういう名前なのかを当ててください。 赤いドレスの少女に質問： 「白いドレスの少女はパメラですか？」とピンクのドレスの少女に聞いたら、彼女は「はい」と答えますか？ 赤いドレスの少女：はい ピンクのドレスの少女に質問： 「黒いドレスの少女はカレンですか？」と白いドレスの少女に聞いたら、彼女は「はい」と答えますか？ ピンクのドレスの少女：いいえ 白いドレスの少女に質問： 「赤いドレスの少女はグレタですか？」と黒いドレスの少女に聞いたら、彼女は「はい」と答えますか？ 白いドレスの少女：いいえ 黒いドレスの少女に質問： 「ピンクのドレスの少女の発言は本当ですか？」と赤いドレスの少女に聞いたら、彼女は「はい」と答えますか？ 黒いドレスの少女：はい ブルーのドレスの少女に質問： あなたはオレンジジュースよりもグレープフルーツジュースの方が好きですか？ ブルーのドレスの少女：はい さあ、解いてください」 ルヴァはにっこり笑って一同を見回す。 ジュリアスは楽しそうに解き始める。 クラヴィスはジュリアスを愛しそうに見詰めている。 ルヴァは、そんな２人の様子を微笑ましく眺めながらゆったりとお茶を飲んだ。 |
|
| 問：５人の少女の名前を当ててください。 | |
おわかりになった方は、下のアイコンから解答ページにお進みください。
今回の問題は楽しんでいただけましたか？
