２０００．１１．２３



ルヴァがシャワーを使い、バスローブに身を包んで戻ってくると、部屋の明かりは消えていた。
見回すと、クラヴィスはテラスへ出て星を眺めている。
そっと近付いて星空を仰ぐその横顔に、しばし見惚れる。

　　やっぱり整った人ですねぇ････

「そんなところにおらずと、こちらへ来てはどうだ」

気配に応じて、クラヴィスが囁く。
ルヴァは静かに寄り添って、静かに満天の星を見上げる。
クラヴィスはそっとその肩を抱き寄せ、口付けを落とす。

「共に夜を過ごすのは久し振りだ。どうしてもっと来てくれない」

「そんなことを言ったって、そうは来られませんよ。
たまにはあなたの方から来てくださったらどうなんです」

上目遣いに軽く睨むルヴァ。
その目元に口付けて、ふっと微笑むクラヴィス。

「お前の館には書物が多過ぎる。古い書物の持つ念が、私の邪魔をするのだ」

「邪魔？」

「そう、こうすることの邪魔を、な」

言いさまルヴァを抱き上げて室内へ戻り、ベッドの上に横たえ、
そのまま覆い被さって口付ける。



薄い口唇が静かに重なって、次第に激しく求めてくる。
舌の先に口唇をなぞるようにたどられ、思わず「ぁ･･」と声を上げると、
わずかに開いた口唇の間から舌が忍び込んできて････
器用に動く長い舌に口の中を蹂躙され、舌を絡め取られ、
ルヴァの息は既に弾んでいる。

細く長い指がしなやかに動いて、
蒼緑の髪をまさぐり、うなじへ滑り落ち、バスローブをはだけて、
現れた胸元へさらに愛撫をくわえてゆく。
両の胸、脇腹と下がってゆく指先が腰骨のあたりへ来たときに、
ルヴァの身体がビクンと一つ大きく跳ねた。

「はぁっ････あ･･あぁっ･･･」

思わず声を上げたその口が口付けで塞がれる。
指先は更に進み続けて、ルヴァの中心に達した。
指の動きに連れて、絶え間ない快感の波が次々とルヴァに襲い掛かる。
身体の熱が増す････。
限界に近付いた高まりが出口を求めて彷徨う。

「まだだ、ルヴァ」

耳元で囁く声と共に締め付ける手がふっと外される。

ルヴァの目尻の涙を掬い取った口唇が、そのまま目蓋に口付けを落とす。
耳朶を甘噛みされてルヴァが息を呑む。
丁寧に丁寧に、クラヴィスの口唇がルヴァの身体をなぞってゆく。
首筋を滑り落ち、鎖骨をなぞり、胸から脇腹へと下りていった口唇が、
中心にいきついた。
口に含まれ攻め立てられて、さっきとはまた違う快感が沸き起こる。

「･･･ぅうっ････はぁ･･･んくっ･･･ん･･んん･･･あ･･あぁ〜〜っ！！」

切なく宙を彷徨ったルヴァの手がクラヴィスの頭を捉える。
髪の中に指を挿しいれかき回す。

「･･･あぁ･･･はぁっ･･･あ･あぁぁ･･･んっ･･･」

首を振って熱を散らそうとしても、更なる高まりがうねりとなって押し寄せてきて、
出口を求めて荒れ狂う。

「････ク･･クラ･･･ィス････あぁぁっ！･･･クラヴィスッ！！」

叫ぶように声を放って、ルヴァが達した。
迸るモノを飲み干したクラヴィスがニッと笑う。

「ルヴァ･･･」

耳元で優しく囁く声に、ルヴァは目を明けてクラヴィスを見つめ微笑む。
ルヴァを抱き締めて、片手をルヴァの後ろへと回してゆく。
細く長い指が、ルヴァを穿つ。

「うっ･･･ん･･･ん････」

「ルヴァ･･･」

熱い息が耳朶をくすぐる。

指の動きを感じて身体が跳ねる。
クラヴィスの首に回した両手に力を込め、クラヴィスを抱き締める。

痛みが次第に快感に変わっていく。
一度鎮まった身体が、再び熱くなる。

「･･クラ･･･ヴィス････もう･･･あ･･･は･･早くっ･･･ぁあぁっ････」

「ルヴァ、よいか･･･」

「･･･あ･･あぁっ････クラヴ･･･ィス･･･お･･ねが･･･い･･で･･･す････」

「ルヴァ･･･力を抜け」

「･･ん･･あ、あぁぁ･･･あぁぁぁ〜〜！！」

指とは比較にならぬ圧迫感と充足感に涙が頬を伝う。

「ルヴァ･･･動くぞ･･･」

クラヴィスが静かに動き始める。

「ルヴァ･･･」

「クラヴィス･･･クラヴィス････」

「ルヴァ････く･･･」

「･･はぁ･･はぁ･･･ぁ･･･ぁあ･･クラヴィス････」

次第に激しくなる動きに連れて、二人とも痺れるような快感の嵐に呑みこまれてゆく。

「･･･あぁ･･･クラ･･･ヴィス･･･もう････もう･･･」

「ルヴァ･･･ルヴァ････一緒にいくぞ、よいか」

「･･･ん･･･クラヴィス････」

「･･･くっ」

「あ、あぁぁぁ〜〜！！」

ひときわ高く叫んでルヴァが達した。一呼吸置いて、クラヴィスがルヴァの中で果てた。




クラヴィスにしっかりと抱き締められて眠っていたルヴァが、満ち足りた眠りから目覚めた。
自分を包み込む腕の心地良さにルヴァが微笑むと、
その気配が伝わったのか、クラヴィスが目を覚ました。

「どうしたルヴァ。何を笑っている」

「いいえ、ただ、気持ちが良くって」

ルヴァはクラヴィスの胸に体重を預ける。

「あなたのサクリアが与えるものが安らぎであることを、つくづく実感しますねぇ」

「そうか」

しばらくして、ルヴァがふと顔を上げてクラヴィスを見つめた。

「どうした？」

「いえね、あなたは安らぎを与える闇を司っているのに、
あなた自身はその恩恵に浴することはないのだと思うと、なんだか不公平なような気がして････」

ルヴァを見つめるクラヴィスの瞳が優しく微笑んだ。

「私は構わぬ。安らぎなら････ルヴァ、お前がくれる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　《　終　》

あはははは・・・・ほとんど擬音の世界になってしまいましたね。
慣れないことはするものじゃないです（苦笑）
最後の一言が書きたくって書いたお話・・・・

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