水の館に着くと、出迎えた執事が何やら慌てていた。 つい今しがた、王立研究院から緊急の呼び出しがあったのだという。 　　　緊急の呼び出しとは…何があったのでしょう… 馬車の支度を指示して、ざっとシャワーを浴びる。 手早く身なりを整えて王立研究院に急いだ。 研究院の内部はどことなくざわめいていた。 案内された先には研究院のスタッフに混じって年長守護聖３人の姿があった。 　　　ルヴァ様…こちらにいらっしゃったのですか… 「リュミエールか。こちらへ」 ジュリアスの声にはっと我に返って示された席に着く。 広い机上いっぱいに広げられている資料を見回す。 このところの懸案事項となっていたある星系の一件に、新たな展開が見られたらしい。 「わかるか、リュミエール」 「はい、ジュリアス様」 「ようやく状況が落ち着いてきた。と同時にこの星系に必要なモノがはっきりした。我ら４人のサクリアだ。急がねばならぬ」 「はい」 「さらに、現地に行っての微調整が必要だ。これは」 「水のサクリアと地のサクリアの仕事だな…」 ジュリアスに続いてクラヴィスが告げる。 「ということで、今から４人でサクリアを送った後、あなたと私は…」 ルヴァは１枚の資料を示す。 「この星に行くことになるのです」 「…はい」 ルヴァと一緒に現地へ行く… リュミエールは信じられないような思いでいっぱいだった。 「せっかくの週末にすまぬな」 「いぃえ、ジュリアス様…」 「特に問題が起きなければ現地時間で５日くらいで大丈夫だと思います。聖地時間だと…そうですねぇ、半日ほどになりますか。お昼前には帰ってこられるでしょう」 ルヴァがおっとりと言う。 「はい…」 「よし。では始めるか」 ジュリアスの声に一同は席を立って、部屋を出た。 奥の間に向かう廊下を歩きながら、リュミエールはそっとルヴァを見る。 ルヴァがさりげなくこちらに視線を向ける。 目が合ってにっこりと微笑むルヴァに、同じように微笑を返す。 これからの、ルヴァと一緒に過ごす（現地時間での)数日間を思うと、それだけで幸せに満たされるような気がした。 　　　　　【　Ｅ　Ｎ　Ｄ　】