もうあきらめて帰ってしまおうか…とリュミエールはため息をついた。 どうします？と問いたげな御者に、水の館へ、と言ってリュミエールは馬車に乗る。 馬車に揺られながら、リュミエールはため息をついた。 　　　ルヴァ様…いったいどこに行ってしまわれたのです… 水の館に着いて私室に入ると思いも寄らない情景がそこにあった。 「ルヴァ様っ！」 ソファにもたれこんで気持ち良さそうに眠っているのは、ずっと探し続けていたルヴァだった。 　　　ルヴァ様…どこにもいらっしゃらないと思ったら… 　　　わたくしのところにいらっしゃったのですね… 　　　もっと早く帰ってくればよかった… リュミエールは手早く身なりを整えると、そっとルヴァを起こした。 「ルヴァ様…。ルヴァ様…」 「ん〜…あ〜リュミエール…おはようございます…」 半ば寝ぼけているようなルヴァの思考が、だんだん焦点が合ってくる。 「え？　まだ朝じゃないですよね。…私は…あ〜そうでした！　私はあなたの帰りを待っていて…　何で寝てしまったんでしょうねぇ、私は…」 「お待たせしてしまいましたから… 「内緒で待っていて、あなたをびっくりさせようと思ったのに…。そのためにここの人たちには、あなたが帰ってきても黙っていてくれるようにお願いしたのに…眠ってしまうなんて」 自分が戻って来たときに執事が何も言わなかったのは、そうだったのか、とリュミエールは合点した。 「今日のあなたはそれほど遅くはならないと思ったんですが…」 言いかけて、ルヴァはハッとした。 「あ、あの…まさか、あなたがこんなに遅くなったのは…」 「はい、ルヴァ様がいらっしゃらないのでお探ししておりました」 「あぁぁ〜すみません。そこまで考えが回らなかったです…」 ルヴァはがっくりと肩を落とす。 「どうして私はこうなんでしょうねぇ…」 しょんぼりしている姿が可愛らしくて、リュミエールはルヴァを抱き締める。 「ルヴァ様…嬉しいです」 「リュミエール…？」 「ルヴァ様がわたくしのことを考えてくださったことが嬉しいです」 「でも…」 「ここにいてくださってありがとうございます」 「リュミエール…」 うつむいた顔をふと上げた、その顎をすくい上げて口付ける。 「さぁ、とりあえずお茶にしましょうか」 「そうですね。あぁ、リュミエール…実はね、あなたに差し上げようと思って持ってきたものがあるんですよ」 「ありがとうございます。それは楽しみですね」 リュミエールはクスリと笑ってルヴァを抱き寄せる。 「一番嬉しいプレゼントはルヴァ様本人ですけれど…」 「リュミエール…」 恥ずかしそうに頬を染めるルヴァに、再びリュミエールは口付ける。 幸せな、２人の週末が始まろうとしていた。 　　　　　　Be happy ！！ 　　【　Ｅ　Ｎ　Ｄ　】