「…危ないな、リュミエール…」 「クラヴィス様…」 突然現れた闇の守護聖に驚きつつ、その支えを頼りにバランスを立て直す。 「ありがとうございました」 ｢大丈夫か」 「はい」 「何を急いでいた」 「いえ、別に…」 「誰かと…待ち合わせでもしているのか」 「あ…いぃえ…」 「そうか…」 からかうような笑いが労わるような笑みに変わる。 「ならば…少し付き合え…」 「…あ…あの…」 「焦らずとも、ルヴァはまだ帰ってこぬ…」 「え…あの、クラヴィス様…ルヴァ様のことを何かご存じなのですか…」 「ジュリアスが、研究院へ引っ張っていった。例の惑星の一件…徹夜で検討することになるやもしれぬということだ…」 「そうだったのですか…」 「緊急のことだったのでな、ルヴァもお前に知らせる暇がなかっただろう…」 「緊急の…クラヴィス様は行かれなくてよろしいのですか」 「私か…今のところ私は、おらずともよいそうだ…」 「…はあ…」 　　クラヴィス様…ひょっとして…拗ねていらっしゃる…？ リュミエールはクスリと笑った。 女王の両翼として並び立つ、守護聖の頂点にいるこの２人は、こちらで見ていても微笑ましいようなときがある。 「えぇ、クラヴィス様。わたくしでよろしければ、お供申し上げます…」 リュミエールはにっこりと微笑んでクラヴィスを見る。 研究院での検討が終わってそれぞれの待ち人が解放されるまで、共に時を過ごすのもよいだろう。 　　ルヴァ様…早く問題を解決して、わたくしのところへ帰ってきてくださいね… 　　　　　【　Ｅ　Ｎ　Ｄ　】