《Ｌ＆Ｂ》　カプ様からのいただきモノ（2001.1.19）


今朝、オスカーがワインを1瓶と手紙を届けてくれたんだ。
また、聖地を抜け出して飲みに行ったね。
私は、自分だけが変らないのが少し辛くて…
このところ外へは飲みに行ってない…外では何年ぐらいたったんだろう

「あの店…もう閉めるって言ってたぜ…気に入ってたのにな…」
「あの店って…《Ｌ＆Ｂ》のことかい」
「あぁ、余計な詮索をしないで飲ませてくれる店だからな…
大概の店は何回か飲みにいきゃ〜こっちがいつまでも変らないんで不思議がられる」
「そりゃ〜そうでしょ」
「あのマスターは違ってた…時々、あんな店がある」
「ついでに上手な酒の飲み方も教えてくれたりして…」
「あぁ…色々とな…」
「マスター。いい奴だろ」
「ああ、いい奴だったな」
「だった…ねぇ」
…そっか、過去形にしちゃうんだ。
「そのワイン、今度飲ませろよな。あのマスターが大切そうにカウンターの奥から出してきたんだ」
「そのうちにね〜」
オスカーはあっさり帰ってった…時々ムチャ飲みするから…
きっと昨夜もはしご酒のあげく《Ｌ＆Ｂ》へいったんだね。
私はワインの作られた年を見て…
少し震える指で手紙を広げた


Ｔｏ Livie

お前がもう一度飲みに来てくれるまで頑張ろうかとも思ったが…
やはり無理のようだ。
かえって会わない方が良かったかも知れないな。
俺の耄碌した姿を見られずに済んだ
さすがに俺も年には勝てん。
だから、このワインをこの男に預けることにした。

お前が聖地に行っちまった年のワインだ。
あの年は、今世紀でも希なヴィンテージだったな。
枯葉が土に返るように昔の仲間が一人また一人といなくなる。
俺の番もじきに回って来る。
いつまでも変らないお前を見て、うらやましいと思ったこともあるが。
何も言わずに酒を飲むお前の横顔は…辛そうだったぜ。

大体お前みたいにカットンダ奴が取り澄ました聖地の守護聖なんて務めるのは無理だと思っていたんだ。
だが、この数年…お前にとっちゃぁ数ヶ月か？面倒だな、オイ！
いい顔で飲むようになってきた。

そっちで、いい仲間ができたんだな。
この男もそのうちの一人だろう？安心したぜ。
このワインはそいつらと飲め。いいな！
ただし、もう少し上手な酒の飲み方を教えてからにしろよ。
まだこいつは酒に呑まれているぜ。
それじゃあな…
Ｆｒｏｍ Ｂ…


あいつの名前が涙で滲んだ…

私の館のワインセラーに秘蔵のワインが一本あるんだ…
そのうち、オスカーとリュミエールも入れて三人で飲む時の為にね。
たぶん、その日はそんなに遠くない…

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さりげなくって、どこか切なくって・・・　くぅ〜〜っ、いい男たちだなぁ・・・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　先にこちらを思い付かれてから、「境界線」へと進まれたそうですが、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カプ様、ステキなお話を二つもありがとうございました。